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バッテリーEV以外の選択肢池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)

バッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッド(PHV)などの「リチャージ系」は、自宅に充電設備がないともの凄く使いにくい。だから内燃機関はしぶとく残るし、ハイブリッド(HV)も然りだ。ただし、カーボンニュートラルにも目を配る必要はある。だから、それらを補う別のエネルギーを開発しようという機運はずっと前から盛り上がっている。

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 ということで現在最も有力視されている太陽光と風力は自然任せで、どうしたってお天気に左右される。無風の夜はどうにもならないし、台風みたいな強風だとプロペラが壊れてしまうので回せない。降雪時はパネルが雪で覆われてダメとなかなか条件がシビアなのだ。

 問題が発生するのは上に挙げたような発電できない時だけかというとこれも違う。発電が過剰でも送電網に障害が起きる。真夏の昼間に太陽がさんさんと降り注ぎ、ついでに頃合いの風がビューッと吹いていると、需要を上回る発電量になって、電力を捨てるしかない。捨てないとブラックアウトが発生するからだ。特に太陽光はピーク時には発電量の半分が電力会社に引き取ってもらえないということも起きていると聞く。

 こういう過剰発電をプールして、不足時の埋め合わせに使うことを電力の世界では「しわ取り」と呼ぶ。余剰が小さい時ならば蓄電池で対応できるのだが、規模が大きくなっていくとそうはいかない。インフラ電源レベルの大容量に対応しようと思うと、水を電気分解して水素として貯め込んだ方がコスト効率が良い。

 蓄電池と水素の関係はちょうどコンピュータにおけるメモリとハードディスク(最近はSSDだが)の関係に近い。量的に小口で、出し入れ機会が多ければ蓄電池が良いが、大量になるとコストが合わない。そこは水素の出番なのだ。

 ということで、要するに再生可能エネルギーの本格的普及は水素と表裏一体の関係で、つまりはEVの未来には水素社会が必須ということになる。もちろん時間軸的にはすぐではない。ただそれを言えば再エネが充実するまではEVのカーボンフリーも同じこと。再エネが充実すればEVはお題目通りカーボンフリーになるし、その時には水素が必要なのだ。


FH2Rの敷地に設置されたメガソーラーシステムの最大出力は20MW

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