インサイドセールスは「コール数をKPIにするな!」 疲弊や不正を招かない目標設定とは:ヴィジュアル系が語る!会社を強くするインサイドセールス(4)(1/3 ページ)
インサイドセールスの組織では、「1日何件コールしているか」をKPIとして設定している場合が多いです。しかし、この目標設定は現場を疲弊させてしまう恐れがあります。どうしたらいいのでしょうか。
みなさま、こんにちは。SNSマーケティング支援を行うホットリンクでインサイドセールスを担当している、堤です。私は13年間ヴィジュアル系バンドのギタリストとして活動し、引退後にインサイドセールス職に従事しています。このコラムではインサイドセールスに関してみなさまのお力になる情報をお届けいたします。
今回は、インサイドセールスの目標設計についてお話しします。
連載:ヴィジュアル系が語る!会社を強くするインサイドセールス:
SNSマーケティング支援を行うホットリンク(東京都千代田区)のインサイドセールス担当として日々業務に努める傍ら、「ヴィジュアル系インサイドセールス」として情報発信を行う堤貴宏さんが、インサイドセールスについて愛をこめてお届けする連載です。インサイドセールス部の立ち上げ経験や、セカンドキャリアとしてインサイドセールスを選んだ経験を生かして解説します。
Twitter:@hotto_mihiro
コール数をKPIにするな! 不正、強引な架電を防ぐためには
インサイドセールスは、活動を定量的に計測しやすい業務です。SFAの入力を徹底していれば、日ごとの行動量が一目で分かります。そのため「1日何件コールしているか」をKPIとして設定しているケースがあります。
私が過去に在籍していた会社では、1日200コールがKPIとして定められていました。その現場でどのようなことが起きていたでしょうか?――それは、強引な架電や不正なコール数計上でした。
コール数目標が未達になることを恐れるばかりに、やみくもに電話をしたり、電話をしていないのに偽ってSFAに履歴を残し、コール数を水増しするといったメンバーも実際にいました。このような状態では本質的な評価は全くできません。無駄なコールでメンバーが疲弊し、不正まで起こるという、問題だらけの状態です。
もちろん中には、1日200件、300件と愚直にコールを続けて成果を出せるメンバーもいます。しかし、それは少数派と考えた方が良いでしょう。
そのような優秀な少数派が、プレイヤーとして成果を上げてマネジャーへ昇格するケースも少なくありません。この場合、これまでの目標設定が限られた人にしかできない、再現性のないやり方であることに気が付かず、後続のメンバーに自身同様の結果を強いることになりがちです。
このようなことを続けていると、現場のメンバーの退職を招くなど、不安定な組織となってしまいます。では、どうしたらいいのでしょうか。
インサイドセールスの成果と活動量の比例について
インサイドセールスの活動量と成果が比例しやすいことは事実です。なぜなら、活動量が母数となり、そこから商談が生まれ、商談から成約につながりますので、母数となる活動量が多い方が、成約も増えやすいからです。
だからこそ、正しい活動量のKPI設定が必要です。
まずメンバーが1日、どれだけ活動できるのかを測定し、「基準値」を作ると良いでしょう。その上で、今日は活動量が多い、少ないといった議論につなげます。
私は、メンバーの自由度を上げるために、この基準値をそもそも設けないということを試した経験もあるのですが、成果につながりませんでした。明らかに活動量が少ない場合でも、中にはそれが少ないと自覚していないメンバーもいるためです。このような場合、基準値がないと議論がかみ合わず、摩擦の原因になります。
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