SKYACTIV-Xは見切り発車か確信犯か 最新のICTに熟成を委ねたマツダの強かさ:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
小改良されたSKYACTIV-X。この新世代のガソリンエンジンについては、まだまだ伝え切れていない情報が多い。誤解や曲解、勘違い、無知ゆえの受け売りによる間違った情報も、巷(ちまた)にあふれている。
SKYACTIV-Xを搭載したMAZDA3が発売されて1年が経過した2020年11月、マツダは早くもエンジンの小改良を行った。発表された内容は、SKYACTIV-XとSKYACTIV-Dのエンジン特性改良、足回りの仕様変更、ADASの機能拡大など多岐に渡る。
今年になって試乗してみると、なるほど確かに見違えるようにエンジンフィールが洗練されていた。エンジンの特性がよりダイレクトに味わえるMTを選び、市街地から高速道路まで乗り回してみると、アイドリングからの応答性や低速トルクの豊かさ、4500回転から上の高回転域の回転フィールやトルク特性が向上している。
さらに足回りも若干硬い印象だったフロントサスペンションがしなやかになり、全体として走りが滑らかに、なおかつスポーティになった。
1.8リットルのクリーンディーゼルであるSKYACTIV-Dを搭載したモデルも、ディーゼルらしからぬ、といえるほど伸びやかな回転フィールを身に付けたことに驚かされた。このあたりも細かく解説したいのだが、さすがに話が広がり過ぎるので、今回はSKYACTIV-Xに焦点を絞り込んで話を進める。
乗り比べれば新しいSKYACTIV-Xは、より自然なフィールで乗りやすく、トルク感も高まり、何より高回転域は断然スポーティだ。わずか10psの最高出力アップとは思えないほどの違いがある。これまでに購入したオーナーの中には、「この状態で発売してほしかった」と思う人が少なくないだろう。だが、そんな思いは2つの理由で解決できる。
1つは、これまでに購入されたSKYACTIV-X搭載車もエンジン特性は同じように改良できる。それも無料で、だ。
もう1つは、改良前のSKYACTIV-Xを発売しなければ、少なくともこのタイミングで改良版はリリースできなかった、ということだ。これについても後述する。
何よりもまず、この新世代のガソリンエンジンについては、まだまだ伝え切れていない情報が多い。誤解や曲解、勘違い、無知ゆえの受け売りによる間違った情報も、巷(ちまた)にあふれている。
そこでSKYACTIV-Xの開発エンジニアである末岡賢也氏(パワートレイン開発本部 エンジン性能開発部マネージャー)、谷本智弘氏(商品本部MAZDA3主査)に話を伺い、その疑問点を解き明かすことで検証していきたい。
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