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日本進出7年で売上200億突破のアンカー・ジャパン、“成功の裏側”と多ブランド戦略の意図家電メーカー進化論(5/9 ページ)

Ankerグループは2011年創業。13年設立の日本法人は初年度売り上げ約9億円、18年には200億円超と急成長を遂げ、今やモバイルバッテリーの代名詞ブランドとなった。また家電、オーディオデバイス、モバイルプロジェクターなど、次々と新ブランドを展開。急成長の秘密と多ブランド展開の戦略と展望を、猿渡歩COOに聞いた。

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――ネット通販はアフターサポートが心配という風潮のなか、アンカー・ジャパンは従来からカスタマーサポートが充実している印象があります

 カスタマーサポートというのは、ほとんどの企業ではコストセンター(売り上げを計上しない部門のこと)だと捉えられがちです。しかし、顧客の意見と最も接しているのはカスタマーサポートなんですね。カスタマーサポートに連絡する顧客は、ほとんどが不満を持っています。そして、カスタマーサポートとのやりとりで、どのような体験をするかがブランドの印象として残りやすい傾向があります。

 カスタマーサポートの対応次第では、製品を1年使って壊れたけれど良い体験ができた、と思っていただけることもあります。逆に、よく分からないブランドのよく分からない製品を買って、壊れて電話しても通じず途方に暮れたとなれば、もう二度と買わない、と思うことでしょう。製品を購入する母数に対して1人というのは確かに小さいですが、購入者その人にとってはその1つの体験が、その製品、ひいてはそのブランドに対する評価になります。

 そうした一つ一つの蓄積が、年間数十万件になり、年単位になると膨大に数になる。そしてブランドに対する信頼性にもつながっていきます。もちろん世の中には、海外の廉価製品をとりあえずECで売り、悪い口コミが増えればEC上の店舗を潰す……というような商売のやり方もあるでしょう。ですが100億円規模のビジネスを作ろうとすれば、ブランドを作らないといけませんし、そのためには顧客の一つ一つの「体験」をケアしていくことが大切だろうと考えています。

 位置情報ゲームの「Pokemon GO」がリリースされたとき、あまりに大きな流行だったために、市場からモバイルバッテリーが一瞬にしてなくなってしまいましたが、当社は最後まで量販店に製品供給ができました。また品切れが続いた結果、値上げを行うメーカーもありましたが、アンカー・ジャパンは定価で売り続けた。これもブランドの信頼を失わないためです。信頼というのは積み上げるのは大変ですが、失うのは一瞬ですから。

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