2位:卒業旅行に行けない学生に贈る「未来で行く卒業旅行券」
【クライアント:Duolingo Inc. 企画:電通、kakeru、ノースショア 公開日:2月】
コロナ禍で、海外への渡航が制限され、卒業旅行へ行けなくなってしまった学生たちに、外国語の学習アプリ・Duolingoが実施した、「コロナを倒した未来」で使える旅行券のプレゼント企画。
3位に続き、こちらも今だからこそ生まれた施策です。「コロナを倒した未来」がいつ来るか分からないため、有効期限を設けない旅行券は、学生たちのいまと未来をしっかりと考えた企業姿勢が表れていると思います。
1位:「ブラックサンダー」が脱義理チョコ
【クライアント:有楽製菓 企画:イニシャル 公開日:1月】
ゴディバジャパンが2018年に「日本は、義理チョコをやめよう」という広告を掲出し、賛否両論がSNSなどで見られましたが、他方で2013年より「一目で義理とわかるチョコ」とPRを行ってきた有楽製菓の「ブラックサンダー」。
「チョコレートを渡すだけではなくもっと楽しく自由に過ごしてほしい」という思いから、21年ついに「脱義理チョコ」として舵切りしPRを実施。社会において多様性が求められる時代は、バレンタインにも見られるようになったと言えるでしょう。
ランキングでもすこし触れましたが、新型コロナウイルス感染症は世界中に大きな影響を与え、それはPR業界も当然含まれます。今、現場ではいわゆるニューノーマル時代のクリエイティブが次々と生まれています。
例えば、フィンランドの生活協同組合・HOK-Elantoと、同国のバス運行会社・Savonlinjaが実施したキャンペーン。これは、バスの車内にクマのぬいぐるみを乗客として乗せることでソーシャルディスタンスをかわいく、温かみのあるかたちで伝えるというもの。なお、このぬいぐるみは、キャンペーン終了後には消毒後にヘルシンキの小児病院の子どもたちへとプレゼントされます。
また、ユニリーバが手洗いの習慣がないインドで展開したのが、石けんでしっかり洗わないと落ちない特殊なインクを手に押し、その手をスタンプが消えるまで洗うことで直感的に習慣づけられるようにしたキャンペーン。
いずれも、ニューノーマル時代に沿ったものでありながら、世界が目指すサスティナビリティも意識されています。20年はコロナへの対抗や、医療従事者に向けた感謝など、メッセージ性の強いPRが目立ちましたが、21年は温かみやユーモアさが増えてきたように感じます。
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