トイレ界のスタバを目指す! 東南アジアに広がる「1回33円」の有料トイレ:最高レベルの清潔さ(5/5 ページ)
タイやベトナムなどで、有料の公衆トイレが人気を集めている。運営しているのは、スイスの会社「ミスター・ルー」。1回33円の有料トイレはどんなところなのか。共同創業者の2人に話を聞いた。
遠隔医療や尿検査。ヘルスケアセンターの展望も
設立当初、ミスター・ルーは観光客の利用をターゲットにしていた。パンデミックにより観光客は激減したが、人々の衛生への意識が高まったことから、市民の利用増により同社のトイレ利用率は全体的に上昇しているという。
「新型コロナの流行が始まった当初、政府の規制により多くの公共施設が閉鎖されたため、短期的にはマイナスの影響がありました。しかし、再開後は利用者が増加、抗菌作用にすぐれた表面を持つ国際的なブランドの機器も導入し、より安心してご利用いただける環境を整えました。3月にはインドネシアとフィリピンへの進出も達成しました。2021年末までに120カ所に拡大することが、現時点の目標です」(ワナー氏)
一定回数の利用者は無料になるリピーター向けのロイヤリティーも用意。また、市場やショッピングモール内に設置されたトイレでは、施設側が利用料を支払うことで、その施設のスタッフや来場客が無料で利用することもできる。
「会場の所有者(民間企業や公的機関)に対しては、2種類の協力モデルを提供しています。一つは、貸し出されたエリアの固定レンタル料を当社が毎月お支払いする契約、もう一つは、アップサイドビジネスの可能性から利益を得たいとお考えのオーナーに向けた、月々の利用者数によって分配額が変動する利益分配契約です」(ワナー氏)
設置地域・数の拡大と同時に同社が見据えるのは、将来的なヘルスケアセンターへの機能拡張だ。遠隔医療サービスや尿検査をはじめとした健康診断の提供を見込んで、アプリケーションやIoT技術を使い、オペレーションのモニタリングや効率化の推進、電子決済機器や施設に置かれた健康機器から顧客データの取得を実施しているそうだ。
「日本は世界でもっとも清潔な公衆トイレが整備されているので、日本でのサービス展開の予定はありませんが、他のアジア諸国では大きなビジネスチャンスがあると考えています」(ワナー氏)
日本以上の“おもてなし”を、東南アジアで広げようとしている。
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