平城京や自由が丘で「踏切除却」! 鉄道、街はどうなる?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/6 ページ)
2021年3月25日、奈良県、奈良市、近鉄が「平城宮遺跡内を通過する近鉄奈良線の移設」に合意した。また東京都目黒区自由が丘地区の都市再生計画が始動。改良したい踏切があっても、今までは国土交通大臣の指定を待つしかなかったが、4月1日から「踏切道改良促進法等の一部を改正する法律」が施行され、自治体側から提案できる。
ジェイ・スピリットが2月18日に公開した「自由が丘駅周辺地区グランドデザイン」によると、東急東横線の都立大学駅から田園調布駅までの踏切8カ所と、東急大井町線の緑が丘駅から尾山台駅までの踏切13カ所を立体交差化で除却する。しかし、東横線の問題は踏切だけではない。すでに立体交差になっていても、ガードの桁下が低いため、配送トラックや消防車などが通行できない場所が3つ、高さはあっても幅員が狭く大型トラックが通行しにくい場所が1つある。桁下高を確保するためには、東横線全体をさらに高く持ち上げる必要がある。
その上で自由が丘地域内の外郭道路と中央を貫く「すずかけ通り」を拡幅し、外郭道路で囲まれた域内を歩行者空間として整備する。つまり「自由が丘駅周辺地区グランドデザイン」で最初に着手すべきプロジェクトは東横線の立体交差化と自由が丘駅の高層化となる。これによって自由が丘は「歩きやすい街」「回遊したくなる街」へと進化する。自由が丘はファッションとスイーツに代表される街となって久しい。しかし、松田聖子さんの店も津川雅彦さんの店も自由が丘から撤退している。若者の街としても、都心側の原宿や渋谷だけではなく、郊外がライバルになっていく。変わるなら今だ。
自由が丘周辺地区の踏切については、東京都が04年(平成16年)に「踏切対策基本方針」を示した。その中で「鉄道立体化の検討対象区間」として「緑が丘〜等々力駅付近 都立大学〜田園調布駅付近(自由が丘駅付近)」を挙げている。これを受けて令和3年度予算に「自由が丘駅周辺地区におけるまちづくり活動の支援と鉄道立体交差化の検討」を組み込んだ。鉄道立体化については1800万円。都市計画道路の整備と一体的な沿道周辺まちづくりについては約2億8000万円だ。
自由が丘は地名こそ「丘」となっているけれども、それは「自由学園のある丘の最寄り駅だから」。実際の地形は窪地である。東横線に踏切が多く、自由が丘駅付近で半端な高架線になってしまった理由だ(出典:2019 第17回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展作品 岩田翔太氏)
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