平城京や自由が丘で「踏切除却」! 鉄道、街はどうなる?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/6 ページ)
2021年3月25日、奈良県、奈良市、近鉄が「平城宮遺跡内を通過する近鉄奈良線の移設」に合意した。また東京都目黒区自由が丘地区の都市再生計画が始動。改良したい踏切があっても、今までは国土交通大臣の指定を待つしかなかったが、4月1日から「踏切道改良促進法等の一部を改正する法律」が施行され、自治体側から提案できる。
踏切道改良促進法改正で、自治体の区画整理事業が再起動するかも
自由が丘駅周辺の踏切については、今のところ国土交通大臣の指定がない。したがって踏切改良に向けた動きは目立たない。しかし、これからは動きがありそうだ。21年1月に「踏切道改良促進法等の一部を改正する法律」が閣議決定され、3月31日に成立、4月1日から施行されている。改正点として「改良すべき踏切の指定について、市町村長が知事を通じて申し出ることができる(第3条5項)」が追加された。
つまり、今までは改良したい踏切があって、国の支援の元で立体交差化などを実施しようにも、国土交通大臣の指定を待つしかなかった。現在は、改良したい踏切を自治体側から提案できるようになった。これは朗報だ。
駅周辺の地域を活性化したいという自治体は多いだろう。しかし、区画整理をして道路と鉄道の動線を変えたくても、交通量の多い踏切を除却しなければどうにもならない。そこで計画が終わってしまった。これからは違う。自治体側から踏切の改良を提案できる。踏切道改良促進法は、いままで鉄道と道路の交点だけを解決し、危険な踏切を解消するための法律だった。これからはまちづくりという面の活性化にも寄与していく。
踏切除却をきっかけに、各地で滞っていたまちづくりが動き出すかもしれない。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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