砂漠、北極でも生産可能! 空気と電気でつくる食用タンパク質の可能性:少量の“うまみ”を含む(3/5 ページ)
粉末状の食用タンパク質「Solein」(ソレイン)をご存じだろうか。フィンランドのスタートアップ「Solar Foods」が独自技術によって、空気と電気から粉末状の食用タンパク質を開発したのだ。どんな特徴があるのかというと……。
少量の“うまみ”を含み、食品の栄養価を引き上げる
ソレインは栄養価が高く、65%前後の豊富なタンパク質のほかに、10%前後の炭水化物、脂肪、ミネラル、カロテノイドなどを含む。現在は量産可能な工場施設を持っていないが、フルスケールの施設で生産した場合の販売単価は、1キログラムあたり3ユーロ(約390円)弱だ。オプションとして、他の栄養素を含まないタンパク質100%のソレインの生産も可能で、その場合は1キログラムあたり4ユーロ(約510円)となる。
風味について、専門家は「ほとんど無味だが少量のうまみがある」と分析する。そのため、さまざまな食べ物に混ぜることが可能で、わずかにマイルドな風味が加わることで、よりおいしく感じられる可能性もあるという。
現在、同社では22年中を予定しているソレインの量産に向けて、代替肉、パン、麺(めん)、ヨーグルト、スムージー、スナック、豆腐など幅広い食品にソレインを加えて、栄養価と味覚にすぐれた魅力的な食品を生み出すための研究を実施している。
近年、国内では「完全栄養食」と呼ばれるドリンク、麺、パンなどが発売されているが、主に大豆などの植物由来のタンパク質を原料としている。また、市場で人気の高タンパク質をうたったヨーグルトは、通常のヨーグルトと比べ3倍の乳原料を使用しているとの記述がある。
栄養面だけを見れば、現在の食品市場には幅広い栄養食の選択肢があるが、“持続可能性”を軸にすると、市場の食品には大いに改善の余地があるというわけだ。特に、もっとも環境への負荷が高い動物性食品をソレインに置き換えることができれば、有効な気候変動対策となりえるだろう。
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