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スマホ捨て自給自足、ファーウェイの「抗日戦争」を読み解くキーワード<ファーウェイの現在地・下>浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(5/7 ページ)

2018年にスマホ出荷台数で世界シェアで2位となったファーウェイ。20年はアップルに抜かれて3位、21年は中国メーカー4社に抜かれて7位となる見通しだ。同社は生存のため、抗日戦争に由来する「南泥湾プロジェクト」に着手した。ファーウェイ特集の最終回は、「脱スマホ」「脱アメリカ」の鍵となるキーワードを紹介する。

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他社の5Gスマホから特許使用料

 ファーウェイはスマートフォンだけでなく、世界首位の5Gでも逆風にさらされている。19年にファーウェイ排除を明確に表明していたのは、米国、オーストラリア、日本など一部の国だけだったが、20年にコロナ禍が拡大し対中感情が悪化すると、イギリスやフランスもファーウェイ排除に転じた。

 ただし、5G網からファーウェイを排除したとしても、同社は5G技術特許を世界で最も多く保有しており、5G対応スマートフォンを生産するメーカーは関係を断つことが難しい。

 ファーウェイは21年3月、同社の特許技術を使用する5Gスマートフォンの特許使用料を、1台当たり上限2.5ドル(約270円)に設定したと発表した。ノキア、エリクソンより価格を抑えており、米国がファーウェイの通信機器を排除しても、同社は一定の収入を得られると見込んでいる。

 ファーウェイは4G技術でも特許使用料を徴収しており、19年から21年までの3年間の知的財産権収入額を12億〜13億ドルと公表している。


2021年3月、ファーウェイの知的財産戦略を説明する知的財産部門長の丁建新(ジェイソン・ディン)氏

 また、南泥湾プロジェクトの一端とも言える独自OS「Harmony OS(ハーモニーOS)」は、米国の規制でグーグルのサービスを利用できなくなったことを受け、今年からファーウェイのスマートフォンに搭載される。

 20年にサブブランドの「Honor(オナー)」を売却するなど、スマートフォン事業の縮小基調は続きそうだが、2月に発表した折りたたみスマートフォン「Mate X2」は中国で在庫切れとなるほど売れており、同国では引き続き存在感を維持しそうだ。

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