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しまむら「テレビCMをゼロへ」 ネット広告との“信頼感の逆転現象”本田雅一の時事想々(2/4 ページ)

確かなものといかがわしきもの。ネットとリアルが持つ信頼性へのイメージは、むしろ逆転してきているのかもしれない。

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テレビCMを抑制、しまむらの衝撃

 先日、J-CASTニュースが掲載した「しまむら『脱テレビCM』でも業績好調 デジタル広告へシフト『低コストで売上効果も十分』」という、しまむらの決算にまつわる話題も興味深かった。彼らが注目したのは、テレビCMを抑制してデジタル広告を増やしたところ、全体の予算は削減したにもかかわらず、より大きな広告効果を得られたことが決算報告内にあったことだ。

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しまむらはデジタル広告に注力。SNS会員数の増加に伴い、新聞の折り込みチラシを削減し、WEBチラシを全体の約半分に拡大。動画広告も拡大し、テレビCMはゼロへ=しまむらグループの決算資料より

 こうした話を取り上げると、すぐに「テレビ・新聞などのオールドメディアはもうおしまい」なんて話になるが、実際にはテレビを通じた情報告知のパフォーマンスはいまだに高い。

 広く浅く情報を届けるための媒体として、他に代わるものはない。問題は、伝えたい対象の母数が十分に大きくないと費用対効果が薄いことだ。消費者の嗜好性、消費行動というほうがいいかもしれないが、生活スタイルや好みの多様化が進んでいくほど効率が下がる。

 50代以上のオジサンは、幼少期に同じテレビ番組を見て翌日、学校の休み時間に話題にするのが当たり前。いくらネット時代だといっても、どこか旧態依然とした価値観を捨てきれないが、テレビが情報を伝える相手がいくら幅広くとも、受け取る側の多様化は進んでいる。

 テレビCMの受け取り方も同じで、誰にでも分かりやすいCMを漫然と見ているだけでは自分ごとと捉えにくい。

 一方、ネット広告は、自分の行動を追跡されているような気持ち悪さや不適格な広告表示も指摘されてきた。現在もその傾向は少なからず見られるが、広告を受け取る側の属性に合わせる技術が進歩してきたことで、デジタル広告の精度は上がってきている。

 しかし、もっとも大きな違いは、やはり効果の見える化にある。

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