しまむら「テレビCMをゼロへ」 ネット広告との“信頼感の逆転現象”:本田雅一の時事想々(3/4 ページ)
確かなものといかがわしきもの。ネットとリアルが持つ信頼性へのイメージは、むしろ逆転してきているのかもしれない。
黎明期のネット広告といえば、小さなバナーを記事の周囲に貼り付けるだけのものだった。しかし今では、ターゲティング広告の発展を指摘するまでもなく、より効果的な閲覧者にカスタマイズされた広告へと進化してきている。それに加え、どのような人に情報を伝えることができたのか、単に表示しただけなのか、情報へのアクセスを誘導できたのかなど、さまざまな数字が得られるようになってきた。
もちろん、精度が低ければ効果は低い。
しまむらの例だけではないが、販売したい商品が絞り込まれ、さらにターゲット層が明確ならばデジタル広告の方が目的を達成しやすく、手元の数字も見えやすいのは当然のことだ。
テレビCMは幅広い層への情報伝達には優れるものの、ソーシャルネットワークとの相性が悪く、情報の二次伝播を期待しにくい。以前のように人気集中の“お化け番組”がない中で、テレビを中心に友人との間で話題になることもなければ、テレビ番組を出発点にソーシャルネットワークでバズるシナリオも描きにくい。
そうした中で、誰にどのような経路で情報が伝わり、そこから自社サイトなど目的のコンテンツへと誘導できたのかが可視化される。
“しまむら”の例に立ち返ると、本当にデジタル広告の方が売り上げ貢献度が高かったかどうかは分からない。効果測定の手法が異なるからだ。
デジタル広告であれば、ある程度、その広告に興味をもった消費者へと導線が数値化できる。ソーシャルネットワークでの広がりも見渡せるため、施策がどのような結果をもたらしたのか分析しやすい。
ところが、テレビCMや各種紙メディアは、視聴者や読者に伝わった後、どのような行動が起きているのかを予測する手段が極めて限られている。
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