コラム
しまむら「テレビCMをゼロへ」 ネット広告との“信頼感の逆転現象”:本田雅一の時事想々(4/4 ページ)
確かなものといかがわしきもの。ネットとリアルが持つ信頼性へのイメージは、むしろ逆転してきているのかもしれない。
ルールチェンジ後も“確かなもの”であり続けられるか
ネットに参加するコミュニティーが小さい頃は、回線を通して向こう側にいる人が朧げながらに見える気がしたが、一気にインターネットが普及すると、あたかもそこが匿名クラブのように感じられたものだ(今どき、ネットに匿名性があると思っている人は少ないだろうが)。
掲示板などを通じた口コミはもちろん、新聞や雑誌などの商用メディアから個人発信のブログまで、ない混ぜとなってWebで情報が発信される──そんなことが当たり前になり始めた当初は、情報の背景が見えにくかったこともあり、ネットで拾った情報にはいかがわしさを感じざるを得なかったという側面もある。
しかし、今やネットの方が“確かなもの”となるケースが増えてきた。ネットでの情報は、その流れを可視化できるからだ。
以前ならば大まかな指標でのみしか評価されなかったような価値も、数値化できるようになってくると“みなし”での評価が不要になるばかりか、なぜ数値に比例させないのか? といういかがわしさを感じさせる。
これは何も広告だけではない。
世の中ではDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が流行しているが、デジタル化によってルールが大きく変わる例はいくらでもある。容易に追跡できる情報があるなら、確かな情報を元にした構造へと改革すべきだ。
少々風呂敷を広げ過ぎ? いやいや、少しでも早く、多くの変化に気付けるかどうか。そのためには、広げる風呂敷は大きい方がいい。
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