花王に聞く、目標管理「OKR」の運用方法 ポイントは「ハイレベル目標」と「必達目標」の融合:野心的(1/3 ページ)
花王が「OKR」を導入。それまでMBOをベースにした目標管理制度を長らく採用してきたが、方針を転換した。その背景は。具体的にどのような運用をしているのか。
洗濯用洗剤やトイレタリー製品、化粧品などの分野で国内トップクラスのシェアを持つ花王。創業は明治20年、従業員数(連結)は3万3000人を超える同社が、大手企業ではあまり例のない人事制度を導入したことで注目を集めている。
2020年12月に発表した中期経営計画の中で、同社は「OKR」(Objectives and Key Results)と呼ばれる目標管理制度の導入を打ち出し、21年1月から本格的な運用を目指し、取り組みを始めている。それまで同社はMBOをベースにした目標管理制度を長らく採用してきたが、ここに来て方針を転換した。
OKR導入の背景について、同社の仲本直史氏(人財開発部門 副統括 兼 人財開発部門 キャリア開発部長)は次のように説明する。
「これまで当社は、経営幹部が立てた全社方針や事業戦略を組織、個人へと順次カスケードダウン(細分化)させていき、最終的に各従業員の目標へと落とし込んでいました。当社の従業員は総じて真面目で、定められた目標の達成に向けて一生懸命取り組んでくれるのですが、ここ数年業績が落ち込む中で目標達成に向けてますます邁進(まいしん)するあまり、周りが見えなくなる傾向が強くなっていると感じていました」
経営環境が厳しさを増す中、自分たちの組織に課せられた目標の達成をよりストイックに追求するあまり、自身の組織の利益ばかりに目が行きがちな傾向が見られたという。しかし花王は本来、「自由闊達な組織風土や、部門を横断した連携で全社一丸となった総合力を発揮できるのが強みだった」(仲本氏)という。
「このままでは組織のサイロ化(分断)が進行し、花王の強みが失われてしまう」。そこで同社が目を付けたのが、OKRだった。具体的にどのような運用をしているのか。
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