コロナで課題の「なりすまし受験」 AIで防止するWeb学力検査が登場
コロナ禍で企業の採用活動もオンラインにシフトしているが、オンラインならではの問題も生じている。基礎能力を測るために行う学力検査がそうだ。検査を知人や代行業者が代わりに受験する「なりすまし受験」が問題になりつつある。
コロナ禍で企業の採用活動もオンラインにシフトしているが、オンラインならではの問題も生じている。基礎能力を測るために行う学力検査がそうだ。検査を知人や代行業者が代わりに受験する「なりすまし受験」が問題になりつつある。
AIを使って採用候補者の入社後の活躍や退職の確率を予測するサービスを提供するアッテル(東京都渋谷区)は、「なりすまし防止」機能を搭載したWeb学力診断サービス「アッテル基礎能力診断」の提供を4月20日に開始した。
採用担当者の6割が「なりすまし受験」に課題
アッテルが行った調査によると、採用担当者の6割が、採用選考時のWebテストにおいて、なりすまし受験を課題に感じているという。コロナ禍でオンライン選考が普通になったことで、選考の見極めも約半数が難しくなったと回答している。
従来、こうしたなりすまし受験への対策は、本人確認や生体認証だった。しかし、昨今なりすましも高度化しており、「本人がパソコンの目の前に座っているが、画面を別の人に共有し、別の回答者が存在する場合には、なりすましを防止できない」(アッテル)といった課題が出てきている。
「アッテル基礎能力診断」では、1回目の受験はスクリーニング目的で大人数をWebで行い、その後最終面接前など受験人数が絞り込まれた段階で現地で実施する形を取る。1回目と2回目のテストで、同じ難易度だが、異なる解法・回答である問題を出題し、正解できるかを確認することで、1回目のWeb受験でなりすましがあったかどうかを判定する。
学力検査ではベイズ推定を使い、学習機能を備えたアルゴリズムを使うことで、少ない問題数で正確な学力測定を可能にするほか、受験者が増えるほど精度が上がっていく仕組みになっているという。
「アッテル基礎能力診断」は、人事管理データ分析システムアッテルの機能の一つとして提供する。利用する企業の規模に応じた料金体系となっており、従業員一人あたり月額350円から。
関連記事
- なぜ面接評価はアテにならない? 離職率をはじき出すAIがすごい
新卒、中途の採用といえば、適性検査と面接評価が普通だ。しかしこれらの評価が優秀でも、必ずしもハイパフォーマーになるとは限らないし、数年で離職してしまう人もいる。どうしたら自社に適切な人材をうまく選べるのか? - JR赤羽駅のAI無人店舗を体験してみた
店舗で品物を取って出口に向かうと、自動で支払額が計算され、Suicaをタッチすれば支払いが終わる。そんな店舗が、JR赤羽駅にお目見えする。17日から2ヶ月間の実証実験中だ。 - 「この顧客の成約確率は?」文系でもAI活用 ソニーが予測分析ソフト無償提供
ソニーは機械学習を使った予測分析ソフトウェア「Prediction One」の提供を開始した。ソニーグループ各社で、ダイレクトマーケティングやシフト配置、CRMなどに活用していたものを、外部の法人に提供する。 - すべてのAI活用に共通する原則とは何か? トロント大学AI権威アジェイ・アグラワル教授
AIとは何かを技術者に聞けばディープラーニングの概念図を示すだろう。しかしエコノミストに聞けば、コストの指数関数的な低下を示すグラフを見せるだろう。AIをビジネスに活用する場合、AIの利用コストが継続的に低下し続けること、そしてAIとは本質的に何なのかを理解することが重要だ。 - コロナ禍での人事評価 担当者の約6割が「難しい」
コロナ禍でのテレワーク導入による人事評価方法の変化について、人事・採用担当者300人にインターネット調査。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.