ストリーミングの時代に、なぜアナログのレコードが売れているのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
多くの人がストリーミングサービスで音楽を聴いている時代なのに、アナログのレコードが売れているという。欧米だけでなく、世界各地で人気が出ている背景に何があるのか。調べてみると……。
多くの人が音楽を聴くのにストリーミングサービスを利用し、スマホやPCなどで楽しんでいる。米国では音楽業界の収益の80%以上が、そういったストリーミングの広告やサブスクリプションからもたらされている。
筆者のようなこれまでいろいろな音楽の「消費方法」を経験してきた世代から見ると、時代ごとに楽しみ方が変わっていく歴史は興味深いものがある。
今から40年前の1980年には、みんながレコードとカセットテープで音楽を聴いていたが、80年代の後半になるとCD(コンパクトディスク)が普及。国内のCDセールスがピークだったのは1998年で、そこから下降線をたどり始めた。
しかし、2010年ごろにストリーミングが始まり、スマホなどで手軽に聴くことができるようになって、15年ごろから業界は復調の兆しを見せている。テクノロジーの進化によって配信サービスが誰でも利用できるようになったことが大きい。
そんな音楽業界で少し前から、新たなトレンドが生まれている。レコードの人気が世界各地で急激に高まっているのである。日本でも最近、時事通信がこんな記事を掲載している。「日本レコード協会(東京)によると、レコードの生産枚数は1970年代後半に年間約2億枚と全盛を極めたが、CDの台頭により2009年には約10万枚に減少。そこから増加に転じ、19年は約122万枚まで盛り返した」
経済活動に大打撃を与えている新型コロナ禍でも、その人気は衰えることなく成長を続けている。レコードの人気は、日本のみならず海外でも、これからどんどん広がっていきそうだと注目されているのである。人気の理由はどこにあるのか、海外の状況から探ってみたい。
関連記事
- ルネサス火災の真相は? セキュリティ関係者が疑っている「こと」
半導体大手「ルネサスエレクトロニクス」の那珂工場で火災が発生した。火災の原因はまだ明確になっていないが、セキュリティ関係者の間で疑っていることがある。それは……。 - 飲食店は“大荒れ”なのに、なぜニトリはファミレスに参入したのか
ニトリがファミレス事業に進出した。店名は「ニトリダイニング みんなのグリル」。、「お、ねだん以上。」のメニューが並んでいるわけだが、なぜ飲食店に逆風が吹き荒れているタイミングで出店したのか。背景にあるのは……。 - CDも苦戦しているのに、なぜ中目黒のカセットテープ店は好調なのか
中目黒駅から徒歩10分ほどのところに、カセットテープ店があることをご存じだろうか。店名は「waltz」。CDの売り上げも減少しているのに、なぜカセットテープを扱っているのか。店主の角田太郎さんに聞いたところ……。 - 配達員トラブル多発のウーバーが、「不祥事相次ぐセブン」と妙に重なるワケ
街中でちょいちょいトラブルを起こしているウーバーイーツに、「ルール整備」を求める声があがっている。配達員の危険運転が問題になっているわけだが、筆者の窪田氏は「ウーバーとセブン-イレブンは同じ匂いをしている」という。どういう意味かといと……。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.