「リードが枯渇する」「マネジメントできない」……インサイドセールスの悩みはなぜ起きる? 3つの失敗談から学ぶ!:“顧客との付き合い方”のデザイン法(3)(4/5 ページ)
実際の失敗談を基に、インサイドセールスの立ち上げやチーム運営においてのポイントをお伝えする。
その結果、商談数自体は増えたものの、商談化率や受注率は下がってしまい、結果として受注の数自体も伸び悩んでしまったのだ。しかし、当時の自分はインサイドセールスを運営している立場から「商談は作っているので、あとはフィールドセールスに何とかしてもらうしかない」という発想だった。これは今にして思えば視野が狭いと言わざるを得ない。
インサイドセールスリーダーは「インサイドセールスの成果を達成する」のが役割ではなく「全体の成果を達成するために必要な、インサイドセールスの成果を達成する」のが役割だ。商談化率や受注率が下がっているのであればそれを見過ごさず、どう対処すべきかを考えるべきだ。
例えば、商談の要件をもう少し厳しく設定すべきではないか、インサイドセールスフェーズでヒアリングする情報を追加すべきではないか、など考えるべきことはインサイドセールス起点でも多い。
インサイドセールスとフィールドセールスにおけるサイロ化の解消は、幾つか方法があるが、私が実践して効果があった対策を2つご紹介する。
一つはKPIを商談数だけに絞らず、受注金額やARR(Annual Recurring Revenue、年間経常収益)、商談化率なども視野に入れるということだ。もちろん複数のKPIを持つとチームの動きは複雑化し鈍くなりがちだ。しかし、インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスの中間に位置するという立ち位置からして、そもそもがシンプルな動きだけをすれば良い組織ではないのだ。市場と組織の両側の動きをにらみながら生産性を最大化するために変形し続ける必要がある。そのために、複数のKPIを持ちバランスを取るのは有効な手段だ。なお、複数のKPIをもつ場合は優先度付けを忘れないようにしよう。
もう一つは、インサイドセールスとフィールドセールスでの目線合わせの場を持つことだ。インサイドセールスの立場からするとフィールドセールスからのフィードバックというのは極力もらいたくないものだ。しかし、そうやって目を背けていてはサイロ化が起こってしまう。互いに受注を最大化していく観点で顧客体験はどうあるべきか、正しい顧客にはどのような特徴があるのか、それぞれの活動をどうすべきか検討する必要がある。当社では週に1回1時間を使って、インサイドセールス・フィールドセールスで各商談を振り返り、商談化率を確認し、PDCAを回す定例を設けた。これにより商談化率が安定し、それまでの2〜3倍という高水準で維持できるようになった。
【失敗3-2】「マーケティングがリードを作ってくれない」と言い訳する
インサイドセールスにとってのチーム間連携は、フィールドセールスとだけではない。インサイドセールスの上流に位置するマーケティングとどのように連携するかも非常に重要だ。インサイドセールスはマーケティングが創出したリードに成果の大半が左右されるために、2つのチームは一蓮托生の関係性だ。ただ、ここでもサイロ化は起きてしまう。
分かりやすいのはマーケティングから供給されるリードの数が少ない、あるいは質が良くないときだ。当然インサイドセールスでの成果も比例して落ち込むわけだが、それを「マーケティングから供給されるリードの量・質が良くないから」と断定しそこで思考停止してしまうことが起きがちだ。
しかし、先述の通り「全体の成果を達成するために必要なインサイドセールスの成果を達成する」ことがインサイドセールスリーダーに求められる観点だ。そこで思考を止めている場合ではない。
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