自粛ムードが漂っているのに、なぜ星野リゾートやドーミーインは続々と開業するのか:ホテルの行方(6/6 ページ)
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、ホテル業界が苦しんでいる。この先、一体どうなるのか。星野リゾートとドーミーインの取り組みを見ると……。
石垣島に続き与論島も。スタートアップのリゾート開発
コロナ禍の7月にオープンしたリゾートホテル「THIRD石垣島」は、創業者の佐々木優也氏の告知ツイートに13.9万ものいいねが付き、大きな反響を呼んだ。竹富島、小浜島などへアクセスできる離島ターミナルから徒歩1分の好立地で、1990年生まれの佐々木氏と同年代のミレニアル世代をターゲットにした程よい高級感も魅力だという。
約500冊の本が置かれたブックラウンジ、ルーフトップテラス、スポーツジムなどがあり、島内初の”ライフスタイルホテル”として宿泊だけでない付加価値を多く提供する。
宿泊価格は時期にもよるが平均25000円で、この価格には食事、ドリンク、アルコールなどホテル内のすべてのサービス利用料も含まれる。「オールインクルーシブ」と呼ばれるこの支払いシステムは、高級なリゾートホテルや旅館などで多く採用されており、どうしても価格帯が高くなりやすい。しかし、同ホテルでは若い世代に手が届きやすい価格帯を実現しており、この戦略も差別化につながっていると見られる。
Twitterを活用したプロモーションも功を奏し、たちまち話題を呼んだTHIRD石垣島は、ホテルサイトの人気ランキングで石垣島1位、沖縄2位を獲得。非常に順調なすべり出しに思えるが、オープン直後に沖縄県の緊急事態宣言が発令されるなど、気苦労は絶えなかったようだ。現在も、感染状況により予約率が大きく変動する不安定な日々が続いていると予想される。
しかし、そのような環境下であっても同社は開発を続ける。沖縄県内に新たなビーチリゾートホテルの建築を計画しているほか、4月16日には与論島でのリゾート再生を請け負うことも発表した。佐々木氏は「5年以内には日本で一番に」とも語っており、スタートアップながら今後も事業の加速が見込まれる。
外出や旅行の自粛ムードが漂う一方、GWに向けて近隣の温泉やグランピングは予約が伸びているとも言われる。第4波の終息はまだ見えないが、引き続き各社の動向に注目したい。
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