コロナ禍でも従業員が結束して客数2倍! “収束後”を見据えて飲食店が取り組むべき「重要事項」とは:アフターコロナに備える(3/6 ページ)
度重なる緊急事態宣言で飲食業界が苦しんでいる。こんな時だからこそ、「ビジョン」が大切だと筆者は主張する。危機を乗り切り、アフターコロナを勝ち抜くために何が必要なのか。
人材不足が飲食店に与える影響
月商500万円の飲食店があったとします。売上原価(食材費など)160万円(売上高に占める割合は32%、以下同)、人件費160万円(32%)、賃料75万円(15%)、光熱水費25万円(5%)、販売促進費13万円(3%)、その他経費25万円(5%)で、営業利益が43万円(9%)だとします。もちろん業態や立地によって数値は大きく変わりますので、あくまでも目安とお考えください。
このお店の社員とアルバイトが突然、退職を申し出るとどうなるでしょうか。お店の経営者は、まずはお店のスタッフの知人などに声掛けをします。これを一般的にリファラル採用(紹介採用)といいます。しかし、リファラル採用が難しい場合は、求人広告などを利用します。飲食店が社員1人を採用するために、どの程度のコストがかかるのでしょうか。マイナビが19年5月に実施した「ベースアップに関する実態調査」によると、飲食店企業における中途採用1人当たりの求人費は約45万円となっています。また、アルバイトの1人の採用単価は約5万円です(筆者調べ)。
このお店のビジネスモデルでは、営業利益が43万円でした。社員とアルバイトが1人ずつ退職すると、求人広告費が50万円かかり、7万円の赤字になってしまいます。さらに、アルバイトスタッフなどは採用した途端に即戦力になるかというとそうではありません。一般的に、40時間程度は研修期間として重複シフトを組まざるを得ないため、時給換算で4万〜5万円の教育コストが追加で発生します。
他にも、人員不足により商品や接客レベルが急激に低下し、お客さまの満足度が低下するといった影響も懸念されます。飲食店を継続的に繁盛させていくためには、コストとお客さま満足の両面において「人材の安定」が何よりも重要なのです。
今後、コロナ禍前より大きな人材不足に見舞われる可能性が高い飲食業界。こうした中でスタッフの離職を防ぎ、人が働きたくなるような飲食企業となるためには、何をするべきかを考えいきたいと思います。
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