コラム
1年間で4万台以上! ネットワークカメラ「ATOM Cam」が売れている秘密:あの会社のこの商品(3/6 ページ)
2019年に創業したアトムテックは、ネットワークカメラ「ATOM Cam」を1年間で4万台以上販売した。高性能でありながら圧倒的な低価格を実現したことがヒットの理由だが、なぜ低価格で販売できたのか? 誕生の経緯から追ってみた。
既存品の活用で高いコストパフォーマンス実現を目指す
高性能で簡単に使えるものを安く売ることで普及させ、これに伴ってクチコミが拡散すればさらに広がる。こう分析した青山氏が「ATOM Cam」の開発でこだわったのが、コストパフォーマンスの高さであった。
コストパフォーマンスの高いものをつくるために、高い販売実績がある既存品の活用を考えた。そうした製品であれば初期不良は対策済みで、改修やアフターケアにコストがかからない。本音は、イチからオリジナルの商品をつくることにあったが、それはいったん脇に置くことにした。
サイズは幅50×奥行50×高さ56(単位:ミリ)とコンパクト。同梱のUSBケーブルと電源アダプターを使いコンセントに接続して使う。本体には磁石が内蔵されており、金属面ならそのまま取り付け可能。金属面以外に取り付ける時は同梱の金属プレートと両面テープを用いる
パートナーとなるハードウェア製造元との相性の良さも踏まえながら見つけたのが、中国企業が製造するネットワークカメラであった。この会社が製造するネットワークカメラは、中国はもちろんのこと米国でも販売。米国ではWyze Labs社から「Wyze cam」として販売されており、2年間で600万台販売している。
カメラ本体には手を加えず、後から機能を追加しやすいようファームウェア(ハードウェアを制御するためのソフト)をつくり変えて日本市場で販売する。青山氏の当初プランはこのようなものだった。
21年1月、同社は日本で受け入れられるかどうかの検証とパートナー企業に日本市場で売れることを証明するため、クラウドファンディングにチャレンジする。目標金額は1000万円。44日間実施し、36日目で目標を達成した。
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