コラム
1年間で4万台以上! ネットワークカメラ「ATOM Cam」が売れている秘密:あの会社のこの商品(2/6 ページ)
2019年に創業したアトムテックは、ネットワークカメラ「ATOM Cam」を1年間で4万台以上販売した。高性能でありながら圧倒的な低価格を実現したことがヒットの理由だが、なぜ低価格で販売できたのか? 誕生の経緯から追ってみた。
国内メーカーの品質を海外メーカーの価格で提供
「ATOM Cam」開発のきっかけは、アトムテックの創業者である青山純社長が富士通のエンジニアだったときの経験にあった。各地を飛び回り、出張で家を留守にすることが多かった青山氏は17年ごろ、飼っていた2匹の猫の様子を外出先でもチェックできるようネットワークカメラの購入を考え、手頃なものを探した。そのときのことをこう振り返る。
「探しに行ったら1台1万円とか2万円のものばかり。このときの正直な思いは、『もっと安く買えるものがあれば……』でした。安いものも探せばありましたが、そういうものは聞いたことがないメーカーがつくっていたのでセキュリティ面が心配でした」
このときは結局、高価な国内メーカーのネットワークカメラを購入する。ただ、高価な割にアプリが使いにくいなど、満足できるものではなかった。
その後青山氏は富士通を退職し、友人が経営するIoT関連のベンチャー企業を手伝う。そこでビジネスの回し方などを学び、19年にアトムテックを創業する。
IoTを活用した製品はいろいろあるが、アトムテックで何をつくるかを考えたときに頭の中をよぎったのがネットワークカメラを探したときの経験。国内メーカーの高品質でセキュアなものを海外メーカーの安い価格で提供できれば、日本にネットワークカメラが普及すると考え、「ATOM Cam」の商品化を構想する。
関連記事
- 「緊急事態宣言下に通勤する人」を叩いても、テレワークが普及しない根本的な理由
緊急事態宣言が発令されたにもかかわらず、通勤列車を見ると、たくさんのビジネスパーソンが乗車している。テレワークを実施している企業が増えているはずなのに、なぜ会社で働く人がたくさんいるのか。コロナに対して危機感が乏しいわけでもなく、慣れているわけでもなく……。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - あわあわあわ! なぜアサヒビールの「生ジョッキ缶」から、泡が次々に出てくるのか
缶のフタを開けると、泡が自然に発生するビールが登場する。アサヒビールは4月に「生ジョッキ缶」を発売。缶ビールといえば泡がたたない構造をしているのに、なぜこの商品は泡が出てくるのか。同社の担当者に開発秘話を聞いたところ……。 - コクヨのIoT文具「しゅくだいやる気ペン」、1万台以上売れた秘密
子どもが小学校に入学すると、多くの親は子どもがきちんと勉強してくれるかどうかについて不安を覚える。そんな不安を解消するために、文具最大手のコクヨは、IoT技術を用いた親子間コミュニケーションで子どもの学習意欲を引き出すことを目指した。そのために開発されたのが、「しゅくだいやる気ペン」だ。 - コロナ禍に人気を集めた「ぼっちてんと」、開発秘話に迫る
新型コロナの感染拡大を受けて、テレワークを導入する企業が増えた。いきなり自宅で仕事をする人が増えたわけだが、そこで注目されているのが「ぼっちてんと」だ。商品の特徴は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.