1年間で4万台以上! ネットワークカメラ「ATOM Cam」が売れている秘密:あの会社のこの商品(5/6 ページ)
2019年に創業したアトムテックは、ネットワークカメラ「ATOM Cam」を1年間で4万台以上販売した。高性能でありながら圧倒的な低価格を実現したことがヒットの理由だが、なぜ低価格で販売できたのか? 誕生の経緯から追ってみた。
センサーの接続でカメラが設置しにくい場所の検知にも対応
「ATOM Cam」は発売後、ファームウェアやスマホアプリのアップデートを繰り返す一方で、新機能の追加も並行して行ってきた。中でも大きな機能追加が3つある。
1つ目は20年11月に正式提供が始まった「AI人数カウント」。「ATOM Cam」で撮影された映像から定期的に画像をAI分析サーバに送信し、そこから人を抽出して分析した混雑状況の結果をスマホアプリに戻し、タブレットなど別の端末に混雑状況を表示する。必要なハードウェアは「ATOM Cam」のみで月額500円と低コストで利用可能だ。20年7月に実証実験として、ベータ版の提供を経て正式提供に至る。店舗、施設、イベント会場などが3密回避のために、来客数や来場者数を制御することに活用することができる。
2つ目は、21年2月から一般販売が始まった「ATOM Sensor」。「ATOM Cam」に接続したドングル(USBポートに挿す小型の機器)が開閉センサーとモーションセンサーの状態を集約し、検知内容を「ATOM Cam」専用のスマホアプリに通知。2つのセンサーは「ATOM Cam」と連携でき、検知と同時に映像を撮影することもできる。価格はドングル、開閉センサー、モーションセンサーのセットで4000円、購入後の月額使用料は無料だ。
開閉センサーは、開いたり閉まったりといった状態の変化を検知するとスマホアプリに通知。モーションセンサーは、人間や動物などが動いたことを検知し、センサー設置場所が明るくなったり暗くなったりしたことも通知してくれる。将来的には各センサーに設定した任意の条件を満たしたら通知するアラーム機能を実装するほか、温湿度センサーや水没センサーをニーズの盛り上がりを見て追加する予定だ。
「センサーはユーザーからの要望もありました」と話す青山氏だが、開発にはトイレや寝室のようなカメラが設置しにくい場所の状況変化を検知できるようにする目的もあった。一般販売に先立ち20年10月にクラウドファンディングでチャレンジしたところ、目標金額の50万円を開始6時間で達成した。
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