予約数は20万個以上 なぜモスバーガーは「月2回、金曜限定」の食パンを販売するのか:バーガーだけじゃない(1/3 ページ)
すっかり定着した「高級食パン」ブーム。モスフードサービスが展開するモスバーガーが3月から食パンを発売している。
ここ数年、至る所で高級食パンの専門店を見かけるようになった。”一時のブーム”というよりも、すっかり定着したように思える。矢野経済研究所によると、2019年度の国内パン市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比100.0%の1兆5786億円。同社は、近年の「高級食パン」ブームや「こだわり商品」の展開などが要因となり「低価格志向に走っていた消費者のパン消費が変化した」と分析する。
最近では高級食パン専門店が監修した商品をコンビニで販売したり、大手製パンメーカーが参入したりと、購入するハードルも低くなってきている。3月には、モスフードサービスが展開する「モスバーガー」も食パンの販売を開始し話題となった。
モスバーガーで「食パン」狙いは?
モスバーガーが発売する食パンの商品名は「バターなんていらないかも、と思わず声に出したくなるほど濃厚な食パン」(600円)。「伝えたい特徴を全て商品名に入れた」(担当者)というインパクトのある名前だ。完全予約制で3月12日から第2・第4金曜日に販売している。商品名のインパクトと「モスで食パン」という意外性が発売前から話題となり、初回の発売時には約9万5000個の予約が入った。
商品の開発・製造は取引先の製パンメーカーが担当した。商品名の通り、バターと卵をたっぷりと使っていることが特徴だ。生クリームだけでなく乳製品を加えることで、なめらかな食感とし、粒度の異なる小麦粉を使って耳まで柔らかく仕上げた。このような特徴を生かすため4枚切りの厚みにこだわったという。
予約制で第2・第4金曜日のみの販売という点も「特別感」を際立たせている。広報担当者は「パンを予約し、週末までお待ち頂くことでより特別感を感じて欲しい」と話す。
なぜハンバーガーショップのモスバーガーが「食パン」を発売することになったのだろうか。営業本部付グループリーダーの吉野広昭氏は「コロナ禍で外食をすることが難しい中、お客さまに店舗で食べて頂く以外の方法で、『おうちごはん』が楽しくなる商品が提供できないかと考えていた」と経緯を話す。
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