連載
官僚アンケートで発覚 未だに「残念すぎる」霞が関の働き方と、改革を阻むカベ:働き方の「今」を知る(3/4 ページ)
民間企業に投げかけられている「テレワーク7割」の掛け声だが、霞が関は実現できているのか? 官僚アンケートで明らかになったのは、残念すぎる内情だ。
一方で、この変化には省庁や党派、議員の年代によって偏りがあることもまた明らかになっている。デジタル化が進んでおらず、いまだに対面でのやりとりを求められる省庁として意見が出たのは次の通りだ。
- 「大臣レクは全て対面。そのための幹部室も全て対面。管理職はそれに対して何の違和感も抱いていないように思う」(財務省 20代)
- 「紙資料の部数や、資料のセット方式に無駄がありすぎる。大臣の分の資料はともかく、秘書官や大臣室の資料はペーパーレスで良いはずなのに、常に数十部のコピーがいるのは理解できない。資料のインデックスの付け方一つとっても、深夜に高い残業代かけてすることではないのに、やたらと付け方のルールが厳しく時間の無駄。こんなことをしに官僚なったのではないだろうなと思うし、若手が辞めたくなるのは理解できる」(国土交通省 40代)
- 「出向者から聞いたが西村コロナ担当大臣は絶対に紙での説明を求めるため、ペーパーレス化が不可能といっていた。記者会見で言っていることとやっていることが違うといっていた」(防衛省 30代)
- 「一度もオンラインやリモートはなく、秘書官も朝6時から対面レクを平気で入れる。家族に急に無理を言って、保育園などの対応を代わってもらう羽目になり、家族不和にもつながった」(厚労省 30代)
デジタル化に積極的/消極的な政党は?
「リモート対応やペーパーレス等デジタル化に積極的に対応している国会議員の所属政党」としては、「日本維新の会」と「国民民主党」が共通して「党としてオンラインに積極的」「比較的リモート対応や電話レクが多い」との意見が見られた。
そして現役官僚から、「質問通告時間が遅い」「デジタル対応が遅れている」双方の項目で名前が挙がった不名誉な党がある。それは「立憲民主党」と「共産党」だ。
<立憲民主党へのコメント>
- 「通告を一度した後、何度も差し替え、時には前日午後10時や、休日など、非常識な時間に行うことも多い」(内閣官房)
- 「定時以降になっても通告すら分からないまま、最後に出された要旨は、要旨対応問い合わせ不可、要求大臣は全大臣。質問項目は〈内外の諸情勢について〉のみ」(経済産業省)
- 「対面でのレクを求められ、実施したのち、その日のうちに宿題返しを紙媒体で行い、対面で再レクを求められた」(厚生労働省)
<共産党へのコメント>
- 「午後10時を超えても通告を出さず、全省庁が待機させられた」(文部科学省)
- 「レク要求で求めていた資料を出さない限り通告を出さないなど、通告を役所との取引に使っている」(国土交通省)
- 「国家公務員も労働者であることに配慮してほしい」(環境省)
アンケートには、「質問通告は2日前」のルールを守れておらず、リモート対応やペーパーレスなど、デジタル化にも対応できていない議員名を挙げてもらう設問があった。結果として回答が寄せられた議員名はワーク・ライフバランス社のリリースには明記されていないが、一部メディアには個別開示されたため、筆者はその情報を基に、得票数の多い議員複数名に対して取材を行った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
日本人は、自らブラックな労働環境を望んでいるといえなくもないワケ
長く続くコロナ禍。解雇などのニュースを目にすることも多いが、国際的に見ると日本は比較的低めに推移している。ただ、その代わりに失っているものも少なくないと筆者は指摘する。
「テレワーク7割」どころか、紙業務・サービス残業が横行の霞が関官僚 「与野党合意」で民間企業の模範となれるか?
政府が要請する「テレワーク7割」だが、そもそも霞が関で働く官僚が達成できていない。それどころか、民間企業未満の過酷な働き方が昨今明らかになっている。その元凶ともいえる国会対応を巡る与野党合意で、民間企業の模範へと変わっていけるのだろうか。
愛知県知事リコール署名の不正はなぜ防げなかったのか? 受託者側から見る、問題の病巣
問題となっている愛知県知事リコール。不正の責任は受託者側にもあると筆者は指摘する。
厚労省「パワハラ相談員がパワハラ」──防止法に隠された逃げ道と、10年かけて体質改善した企業の結論
「死ねといったら死ぬのか」──厚労省のパワハラ対策相談員が部下の男性にパワハラをしていたことと、給与の1カ月間1割減額という加害者への軽すぎる対処が明らかになった。いったいなぜ、このようなことが起きたのか。昨年6月から「パワハラ防止法」が施行されたが、厚労省は制定にあたり、たたき台にはなかった「ある文言」を追加していた。
【独自】ワタミ「ブラック企業に逆戻り」騒動 内部取材で明らかになった、衝撃のウラ話を暴露する
「ワタミの宅食」で起こった残業代未払い問題。それだけでなく資料改ざんやパワハラなど、「やっぱりワタミはまだブラックだったのか?」と思わせるような実情が告発された。本当にワタミはブラック企業へ回帰したのか。内部取材を敢行すると、思わぬ事情が見えてきた。