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我が社は気候変動なんて関係ない? 環境配慮が経営リスクど真ん中である理由(2/2 ページ)
昨今、地球温暖化対策に向けて脱カーボンなどの動きが激しくなっている。とはいえ、自動車産業や工場などとは違い、特にCO2を出すような事業をやっているわけでなければ、「我が社には直接は関係ない」と、心のどこかで思っている経営者もいるかもしれない。
機関投資家に向けての環境情報開示規制
環境対策情報の開示については、運用会社ならではのより切実な理由もある。EUが資産運用会社を対象として定めた、サステナビリティ関連の開示規制「SFDR」があるからだ。さらにEU域内で金融商品を提供する事業者に向けて、投資先のサステナビリティ情報開示を求めるEUタクソノミーも始まる。
「グリーンウォッシュをいかに防ぐかという観点で、EUからアセットマネージャーに向けた情報開示規制が始まる。投資先企業の気候関連情報を、昨年対比で開示を求められる。(当社が)EU域内で事業を行う上で、データを開示してもらわないと困る。企業を評価する上で、カーボン排出に向けた企業の戦略、遅れを取っているのか進んでいるのかを企業評価に組み込んでいく」(藏本氏)
単に罰則や税金を課すだけでなく、機関投資家などの株主を通じて、情報開示や環境対応を求めていくというのが、現在の環境規制のあり方だ。
「環境情報開示がなされない企業には、ある時点から役員選任に反対していく」と藏本氏は言う。ESG、SDGsという言葉から最近ではサステナビリティへ。環境対応は、どんな企業にとっても対岸の火事ではなくなってきている。
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