2015年7月27日以前の記事
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コロナなのに高級品が飛ぶように売れている! 富裕層を動かす「消費の玉突き現象」の正体行動制限がきっかけ(3/5 ページ)

コロナ禍で日本全体の消費支出は減少しているとされる。一方、富裕層はさまざまな高額品をどんどん購入している。そのメカニズムは「消費の玉突き現象」だと筆者は説明する。

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地方百貨店の「特選売り場」が好調

 ファッション業界は全滅という話が日本では定着しています。アパレル業界はリストラが続き、百貨店も苦戦というニュースばかりです。

 一方、百貨店でラグジュアリーブランドなどを扱う「特選売り場」は好調です。しかも、地方百貨店でその傾向が顕著です。

 そごう・西武(千葉などの5店累計)では、特選売り場における20年8〜12月の売り上げが前年比5%増でした。高島屋高崎店の特選売り上げは70%増、高島屋立川店が13%増、大丸松坂屋百貨店の大丸神戸店は7%増、松坂屋名古屋店が3%増という状況です。

 また、インバウンド比率が大きく、特選売り場の売り上げが前年を割り込んだ都心型店舗も、国内顧客に限定すれば20年8〜12月は阪急うめだ本店が12%増と好調を維持しています(参考記事:増加する富裕層がけん引 コロナなんてどこ吹く風、百貨店特選の20年秋冬好調ブランドを検証)。

有名ブランドの人気が高まる

 ファッションの中でも紳士服業界は特に厳しいとされています。スーツを着る機会が減ったためです。一方、伊勢丹新宿本店メンズ館のメンズデザイナーズ売り場は好調です。20年8〜12月の売り上げは、19年と同等の実績でした。各社がマイナスを続ける中、画期的な数字です。この傾向は21年になっても継続し、21年2月は前年同期比20%増となりました。

 日本百貨店協会が発表した21年3月における紳士服部門の売上高はマイナス22.3%です。東京地区(3月)だけを見ても、売り上げはマイナス13.5%。全体は良くありません。しかし伊勢丹新宿本店の外商は売れています。理由はメンズラグジュアリーブランドが好調だからです。

 20年8〜12月の売り上げが前年比で30%増加したディオール。同20%増のジル サンダー。そして、富裕層から圧倒的に支持されているドルチェ&ガッバーナ。この3ブランドは世界でも売れていますが、日本の富裕層を中心にコロナ禍でさらに人気が高まっています。


メンズデザイナーズフロア(出所:伊勢丹メンズネット公式Webサイト)

 三越伊勢丹ではこのような状況を受け、富裕層の取り込みに向けて、外商強化を中期経営計画で打ち出しています。外商で取り扱う商品やサービスを拡充し、店頭バイヤーと外商部が連携。店頭にない商品でも富裕層に提案できるようにする方針です。今後は顧客データをより細かく分析し、個別対応を進めていくことになります。

 このように日本の高級品市場はコロナ禍でも確実に動いています。むしろ活況を呈しています。なぜでしょうか?

 「富裕層の人口構成の変化」と「移動制限による消費の変化」という2つの要因が見て取れます。

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