「大塚家具」は再建できるか 危機意識強める「ヤマダ」とのコラボで売り場に変化:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
大塚家具の業績が改善している。黒字転換が現実的に見えてきた。背景にあるヤマダグループの危機意識とは。
ヤマダホールディングス(HD)に買収された大塚家具の業績が改善している。
2021年4月期第3四半期(20年5月〜21年1月)決算は、売上高199億8400万円。決算月が変更されたため単純に比較はできないが、前年同期間の実績より3.0%増。第3四半期では実に7年ぶりの増収へと転換した。
ヤマダHDでは、ヤマダデンキと大塚家具を融合した売り場づくりを進めている。「家電と家具を一緒に展示する、ライフスタイルの提案が受け入れられてきている」(大塚家具・広報)と、明るい材料が見えてきた。今期の期末は、最終赤字28億9000万円を予想しているが、前期における60億900万円の赤字に比べれば半減する見通し。急速な業績改善で、来期の黒字転換が現実的に見えてきた。大塚家具の売上高は、07年の727億6900万円がピークで、12、13、15年にやや持ち直したが、ずっと下降線をたどり、20年には348億5500万円と半減していた。
大塚家具は、前社長の2代目大塚久美子氏が09年から指揮を執ってきたが、業績悪化が止まらず、創業者で実父の大塚勝久氏との骨肉の争いばかりがクローズアップされた。勝久氏は現在、ライバル会社「匠大塚」(埼玉県春日部市)を起業して、代表取締役会長の座にある。
久美子氏が、ニトリやイケアを視野にカジュアル路線をとろうとしたのに対して、勝久氏はあくまで高級路線を貫こうとした。経営のスタンスの違いが対立を生んだ。
結局、久美子氏は経営に行き詰まり、19年12月、ヤマダの傘下に。20年12月には経営再建の道筋がついたとして社長を辞任した。程なくして、久々の増収の発表がなされたのだから、久美子氏は「持っていない」経営者だった。
ヤマダHDの子会社になっても、懲りずに続投して赤字になったから、辞任せざるを得なかったという説もあるが、第1四半期から赤字幅は前年同期の7割くらいに縮小していた。久美子氏としては、責任を果たして納得の辞任だったのだろう。
現在、大塚家具の社長は会長兼任で、ヤマダHD社長兼COO(最高執行責任者)の三嶋恒夫氏が就任している。
大塚家具は再建できるのか。事業承継の難しさを探ってみた。
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