「大塚家具」は再建できるか 危機意識強める「ヤマダ」とのコラボで売り場に変化:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
大塚家具の業績が改善している。黒字転換が現実的に見えてきた。背景にあるヤマダグループの危機意識とは。
大塚家具の買収に驚いた理由
ヤマダが大塚家具の買収を発表したときには、真意を測りかねた人も多いだろう。
同社はどこよりも安く売る“家電の激安王”として、北関東からロードサイドを中心に伸びてきた企業。近年は、東京・池袋、大阪・なんばなど大都会のターミナル駅前にも大型店を構える。しかし、家電量販店のトップに上り詰めていった頃のイメージは、ロードサイドの激安王だった。
一方、大塚家具のイメージは、近年、久美子氏がカジュアル路線に変更してきたとはいえ、コンシェルジュのような丁寧な接客で、高級家具を売ってきたイメージが強い。結婚のようなライフイベントを機に、一生ものの家具をまとめて購入するお店だった。引っ越し、住み替え、子どもの結婚と、顧客の人生に寄り添っていくスタンスだ。
ヤマダも大塚家具と同様に専門店として広い面積を有しているが、膨大な商品数に対して、店員数は究極まで絞り込まれていて、方向性は真逆だった。
ヤマダHDの業績の推移を見ると、2011年3月期に売上高2兆1532億5900万円に達したが、20年には1兆6115億3800万円にまで落ち込んだ。10年程で、売り上げが4分の3に減っていた。
それでも、17年に1兆5630億5600万円まで落ちて底を打ってからは、復活の兆しが見えている。21年3月期は、コロナ禍によるステイホームにより、家を住みよくしようと家電を充実させる人が増え、売上高は前年より8.7%増の1兆7525億600万円と復調している。
ヤマダと大塚家具は、不振企業同士の弱者連合で、手を組んで果たして成功するのかといった意見もあった。しかし、ヤマダの場合、改善のめどが付き、結果も出始めていた。
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