「大塚家具」は再建できるか 危機意識強める「ヤマダ」とのコラボで売り場に変化:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
大塚家具の業績が改善している。黒字転換が現実的に見えてきた。背景にあるヤマダグループの危機意識とは。
ヤマダも苦戦していた
なぜ、ヤマダは低迷したのか。アマゾンをはじめとするインターネット通販の台頭も大きな理由の1つだ。安さだけを求め、通販を選択する人が増えてきた。家電製品は、メーカー名と商品の型番が分かれば、カカクコムなどの価格比較サイトを通じて、最も安い価格で購買可能だ。
極端に言えば、従来型家電量販店は、来店者が実際にどういう商品なのかを確認するためのショールームとして活用されるだけで、販売につながらなくなってきた。
ビックカメラやヨドバシカメラは、大都市の都心部駅前を主力としているため、インバウンドの需要が高く、海外観光客の爆買いの恩恵があった。しかし、郊外店が主体のヤマダにはそこまでのプラス効果がなかった(今はコロナ禍で状況は一変した)。
そこで、構造改革を実施。ヤマダは、15年に全国約1000店のうち46店を閉店または業態転換するなど、まずは不採算店の整理に乗り出した。
一方で、同社は11年にハウスメーカーのエスバイエル(現ヤマダホームズ)を買収。翌12年に住宅設備メーカーのハウステックホールディングス(現ハウステック)を買収した。さらに、既に自社でリフォーム事業を立ち上げていたが、17年にはリフォーム最大手のナカヤマを買収。20年には注文住宅のレオハウス(現ヤマダホームズ レオハウス事業本部)とヒノキヤグループも買収するなど、住宅関連の企業を次々と傘下に収めている。
それには意図があった。新しく打ち出した戦略は、家電を中心に、住宅、リフォーム、そして家具やインテリアをトータルに、「暮らしまるごと」提案していく企業への進化である。特に20年10月のホールディングス制移行によって、より明確に「暮らしまるごと」戦略を打ち出すようになった。
「暮らしまるごと」戦略では、家を買い、家具や家電をそろえ、リフォームして、さらには住み替えるという顧客の一生にヤマダが寄り添うことになる。むしろ、大塚家具が培ってきたコンサルティング販売のノウハウが生きる展開になるのだ。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「お菓子ドンキ」と「お酒ドンキ」に行ってみた 品ぞろえから見えた“初挑戦”の狙い
「お菓子ドンキ」と「お酒ドンキ」がオープンした。グループ初となるお菓子とお酒に特化した品ぞろえをしているのが特徴。プレオープン日に取材した結果は? - 「レジ袋有料化」は“天下の悪法”か 次は「プラ製スプーン有料化」で、経済に大打撃
レジ袋有料化からもうすぐ1年が経過しようとしている。どういう理屈で「エコ」になるとしているのか? プラ製のスプーンやフォークが有料化されると、経済に深刻なダメージを与える可能性もある。 - 1000円に手を出す「ダイソー」と100円にこだわる「セリア」 コロナ禍でも好調な業界に変化
コロナ禍でも100円ショップ業界が好調だ。「2強」のダイソーとセリアでは戦略が大きく異なる。キャンドゥとワッツの独自戦略にも迫る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.