「大塚家具」は再建できるか 危機意識強める「ヤマダ」とのコラボで売り場に変化:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
大塚家具の業績が改善している。黒字転換が現実的に見えてきた。背景にあるヤマダグループの危機意識とは。
ニトリやイケアの猛攻
久美子社長は、06年に東京に進出してきたニトリ、同年に船橋と横浜に日本再進出の店舗を出したスウェーデン発のイケアなどといった、低価格チェーンに家具の流れが移っていることから、会員制を廃止。ニトリ、イケアよりワンランク上の中価格のカジュアルな路線に舵を切る。
90年代、バブル崩壊後の日本は、まだ金銭的な余裕を持った人が多かった。また、日米構造協議により、大規模小売店舗法が改正され、大型店の出店基準が緩和された。2000年前後にはITバブルと呼ばれる景気の山があり、勝久氏の進めた、交通の便の良い場所に従来の4倍もある大型店を出し、高級化して輸入品を増やす戦略は、時流に合っていた。当時、インテリアにこだわったカフェやダイニングが流行していて、家具への関心が高まっていた。しかし、09年頃になるとリーマンショックの影響で、本格的なデフレに突入していく。高級路線は限界に達していた。
久美子氏は、大塚家具の成功要因とされてきた会員制こそが、不振の原因と考えた。受付で住所、氏名を登録し、売り場の案内に店員が付き添う会員制は堅苦しく、ハードルが高すぎる。もっと気軽に来店してもらうために会員制を廃止した。実際、顧客数が増えて黒字転換するなど、業績は改善に向かっていた。
ところが、それを企業文化の破壊と感じた勝久氏は、反撃に転じた。14年の取締役会で業績低迷を理由に久美子氏の社長解任を提案し、了承された。勝久氏が社長に復帰、久美子氏は平の取締役に降格された。ところが、14年12月期決算は久美子氏が社長だった前期の約8億4300万円の営業利益から、一転して約4億200万円の営業損失となり、4年ぶりの営業赤字に転落してしまった。
これでは会社が危ないと久美子氏は、15年の取締役会でやり返し社長に復帰。勝久氏との株主の議決権数を争う、プロキシーファイト(委任状争奪戦)にも勝利し、勝久氏の排除に成功した。
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