日本が誇る「トイレ」は人類を救う、本当か:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
海外に行くと「日本のトイレは清潔だなあ」と感じる人も多いかもしれないが、今後もトイレはどんどん「進化」しそうである。どんな製品が登場しそうかというと……。
多くの人の命を救う
毎日、トイレで用を足せば、知らぬ間に健康診断ができる優れものである。しかし、同商品は、思ったほど販売数が伸びなかったようで、結局、終売となってしまった。ただその後も、このコンセプトは受け継がれ、TOTOでは現在も、医療機関向けに過活動膀胱や前立腺肥大症などの検査に必要な尿の量と勢いを測る「フロースカイ」トイレを発売している。
そして今回、新たにハイテクトイレの開発を発表したのである。再び、トイレから健康維持を、というコンセプトを引っ提げてビジネスに乗り出すことになったわけだ。
これまで以上にネットワーク化が進んだことで、便利なトイレがやっと本領を発揮できる舞台が整ったといえるのかもしれない。ビジネスを展開する上でタイミングが重要であることは言うまでもないが、TOTOにしてみれば、“機は熟した”のだろう。同社の関係者は「数年以内には実現させたい」とメディアの取材に意気込みを表明している。
ただ、個人の健康状態がネットワーク上で結ばれれば、サイバー攻撃のリスクが出てくる。データをスマホに送れるということは、セキュリティも強化していかなければいけない。
いずれにせよ、こうした商品が誕生すれば、日本が誇るトイレはさらに「進化」することになる。人類を救ってきたトイレが、これからも人々の健康を支え、多くの人の命を救うことになるかもしれない。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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