LGBT「無関係な企業」はない 「体は男だけど女子トイレ」問題と、淘汰される無知な企業:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/3 ページ)
LGBTなどの性的マイノリティーの割合は、8.9%にのぼる。11人に1人と考えると、どの企業も「うちにはいない、関係ない」とは言い切れないのではないだろうか。企業が知っておくべき知識とは。
11人に1人──。
電通ダイバーシティ・ラボが実施した調査で、LGBTなどの性的マイノリティーの割合が、8.9%にのぼることが分かりました。
この調査の対象は、全国の20〜59歳の計6万人。8.9%という数字は「どこの職場でもLGBTなどの人たちは存在する」と解釈できる数字です。
「うちの企業には、そういうフツーじゃない人は……いないね!」と思った方。そういう差別的な“まなざし”を向ける人たちがいるから、「言えない」だけ。もっと自由に、自分らしくふるまいたいのに、「自分がどうがんばっても“フツー” になれない」と、悩み、苦しみ、生きる力を奪われている人が、あなたの周りにも確実に「いる」のです。
LGBTという言葉は、広く知られるようになりました。社会的問題として取り上げられることも増えました。しかしながら、スポットが当たることと、「自分ごと」として捉えることは別。自分の“差別的なまなざし”に気付くこともなければ、理解しようとも1ミリも思わない人たちがいっこうに後を絶ちません。
彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか(18年7月23日報道)
LだってGだって法律に守られているという話になったのでは、足立区は滅んでしまう(20年10月3日報道)
体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、女子陸上競技に参加してメダルを取るとか、ばかげたことが起きている(21年5月19日報道)
生物学的に自然に備わっている「種の保存」にあらがってやっている感じだ(2021年5月21日報道)
政治的に抹殺されるから言えないという状況が生まれつつある
どんな発言をしても大丈夫な社会をつくるべきだ(21年5月21日報道)
これらは全て政治家さんたちの「正義」という名を借りた「差別発言」です。こういった差別は、大抵の場合、無知、すなわち「知識のなさ」によるものです。
例えば、性自認などLGBT問題では、「でも、生物学的には男と女は全く違うし」といった具合に、「生物学的=絶対的」というニュアンスの意見が必ず出ます。しかしながら、染色体は実に気まぐれで、簡単に男女の二分法で分けられない多様性を持ち合わせています。
「生物学的にXX=雌、XY=雄」しか存在しないというのは間違いで、性染色体には「XXY」や、「XXXY」というケースが相当数存在することが分かっているのです。
特に「XXY」はクラインフェルター症候群と呼ばれ、男性500人に1人の頻度で発生していると報告されていますが、検査しない限り分からないので、実はもっと多いのではないかといわれています。
関連記事
- 定年再雇用「60歳以降、1年ごとに1割給与を減らす」はOKですか?
定年再雇用を新設する際、「60歳以降、1年ごとに1割給与を減らす」制度は問題ないか。実例を踏まえ、人事コンサルタントが解説する。 - 1on1ミーティング、研修受け放題サービス導入……なぜ失敗? 良かれと思った育成施策の落し穴
あらゆる人事施策には、メリットとデメリットがあります。他社にとっては良い施策でも、自社で導入してみると合わなかったということも起こり得ます。今回は、マネジメントや人材育成に対する誤解を紹介します。 - 新卒応募が57人→2000人以上に! 土屋鞄“次世代人事”のSNS活用×ファン作り
コロナ禍で採用活動に苦戦する企業も多い中、土屋鞄製造所の新卒採用が好調だ。2020年卒はたった57人の応募だったが、21年卒は2000人以上が応募と、エントリー数が約40倍に急増した。その秘訣を聞いた。 - 「優秀な社員から辞める」自業自得──希望退職という名の”企業の自殺”
希望退職を募る企業が増えている。「辞めてほしい人は居座り、優秀な人ほど辞めてしまう」と嘆く企業も多いが、希望退職の捉え方が間違っているのではないだろうか。 - 日本の賃金、低すぎる? 国際比較と春闘の推移から考える“豊かな日本の残像”
日本の平均賃金の相対的な下落が止まらない。諸外国との比較による低下が指摘されて久しいが、主要先進国(G7)の中で最下位である。本記事では、日本の賃金について国際比較と春闘の推移から考える危惧を解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.