ロボアドでアクティブ運用 アルゴリズムで18銘柄を選び出す(3/4 ページ)
伸びるであろう銘柄を見つけて投資するというアクティブ運用の世界にも、新たな動きがでてきた。スマートプラスが提供する、アクティブ運用を行うロボアド「Wealth Wing」だ。
市場平均=インデックスを上回れるのか?
では、こうしたスマートベータ運用は市場平均、つまりインデックスを上回れるのか。バックテストと2020年11月からの運用開始からの成績でいえば、平均して約10ポイントほどWealth Wingは市場平均を上回った。また、株価の変動率(リスク、ボラティリティ)は9%程度となっており、市場平均を下回った。つまり、リスク当たりのリターンであるシャープレシオは改善した。
アルゴリズム系の運用は当然ながら、バックテストで市場平均を上回る組み合わせをとってくるので、これ自体は意外ではない。また半年間という短期の成績では、本当に市場平均を上回る超過収益(アルファ)を獲得できるモデルなのかどうかは定かではない。それでも運用担当者は、アクティブ運用に自信を見せる。
「もともとポートフォリオ運用の出身だったので、アクティブ運用否定派だった。しかし、前職の運用会社で数百億円のアクティブ運用を行う中で、実感としてインデックスを上回るものがあり、実際にそれで何年も利益を上げてきた。(Wealth Wingを通じて)いろいろな投資手段を投資家に提供したい」
Wealth Wingは6月3日に新たにスマートヘッジ機能の提供も開始した。これは、相場観によってユーザーが市場平均と逆の動きをするインバースETFを組み入れることで、市場下落の影響を減らせる機能だ。これによって、市場平均が下落してもインバースETFが上昇して打ち消しあう。
「グローバル分散、アセットクラス分散をしても、金融グローバル化が進む昨今ではリスクをヘッジできないという現実がある。スマートヘッジでは、保有資産とほぼ真逆の資産を買うので、完全にヘッジできる」(スマートプラス運用担当)
投資をしているのに市場の動きを相殺してしまっては、利益も出ないのではないか? と思うかもしれない。実はここにアクティブ投資の妙味がある。市場平均を超えるリターンを目指す運用では、市場の動きを消し去っても超過リターン分(アルファ)は受け取れる可能性があるからだ。
「個別銘柄へのアクティブ投資なので、あわよくばアルファも取れる」(スマートプラス運用担当)というわけだ。
インバースETFは信用取引を使うため、別途資金を必要とせず、手持ちの株式を担保として保険が掛けられるメリットもある。また先物売りを使う場合と違い、利益に対する税金を相殺できるのも制度上の利点だ。
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