会社公認「働かない制度」 “ITが好きな”企業が導入したワケ:毎月最大20時間(2/4 ページ)
フューチャースピリッツが「会社公認 働かない制度」を2016年6月にスタートさせた。どんな制度なのか。
制度利用の申請は、Web 上のワークフローからの申請となっている。前述したように申請にあたっての厳しい条件はない。項目としては、制度利用が「副業なのか」「それ以外なのか」という区分けと、「活動内容」「活動頻度(月や週にどれくらいか)」 「収入の有無(ある場合は収入元を記載)」および補足資料があればそれを添付、という程度である。文末には誓約事項が記載されている。
ワークフローは、本人から所属する部門の本部長へ提出し、管理部門を経て最終的に社長が承認する。実際の職場においては、上司に「この日は抜けます」など個別に伝えることになる。
これまで申請されたなかで却下されたものはなく、会社としては完全に性善説に立って運用している。
2018年からは年1回、制度利用者にレポートを提出してもらうこととした。そのうえで引き続き制度を利用するかの意向を確認している。
このレポート提出の目的は「管理すること」ではなく、社内の「情報共有」と、それによる「利用者促進」のためである。その理由を川田氏はこう語る。
「制度導入当初は申請者が多かったのですが、しばらくすると新規の申請数が少なくなってしまいました。一方、『制度利用者は中抜けして何をしているのか』といった声も出てくるようになりました。利用者がこの制度を使ってどんな活動をしているのか周囲に理解されれば、『では、私もこう使ってみようかな』と、申請者が増えるだろうと考えたのです」
ちょうど社内報を新しく作成し始めた時期だったこともあり、提出されたレポート内容を下敷きに記事を作成することにもつながった。
「実際、新規利用者促進のてこ入れになりました」と川田氏は手応えを話す。
関連記事
- 新卒応募が57人→2000人以上に! 土屋鞄“次世代人事”のSNS活用×ファン作り
コロナ禍で採用活動に苦戦する企業も多い中、土屋鞄製造所の新卒採用が好調だ。2020年卒はたった57人の応募だったが、21年卒は2000人以上が応募と、エントリー数が約40倍に急増した。その秘訣を聞いた。 - 新チームでも飲み会要らず! 1時間・オンラインで「個性や強みを理解し合う」方法とは?
人事やマネジメント層の方は、テレワーク中に入社・異動したメンバーから「入社後しばらくたったが、このチームで働いているという実感が湧かない」「業務以外の会話がなく、常に一人で仕事をしている感覚がする」「困った時に誰に相談すべきか分からない」──といった声を聞くこともあるのではないでしょうか。本記事では、実際に集まらなくてもメンバー同士が1時間で相互理解を深められる方法をご紹介します。 - なぜ? YKKが「定年廃止」を決めた理由 65歳以上の評価・報酬はどうなるのか
YKKグループが4月、定年制度を廃止した。日本企業では、当たり前の制度として定着している定年だが、その廃止を決めた理由は何か。その背景を取材した。 - 緊急導入したテレワークを「恒常施策」に 必要なセキュリティ対策は?
コロナ禍で緊急導入したテレワークの恒常化に取り組む際、必要なセキュリティ対策とは?
© 人事実務