1〜5月の飲食業倒産は270件 業種別、都道府県別では?:コロナ要因での倒産が半数
2020年には842件と年間最高を記録した飲食業の倒産件数。倒産件数は減少しているものの、時短営業や酒類提供禁止などによってコロナ要因の倒産には拍車がかかっているようだ。業種別・都道府県別に倒産の実態を見てみよう。
東京商工リサーチが発表した「飲食業の倒産動向調査」(1月から5月)によると飲食業の倒産(負債1000万円以上)件数は270件だった。倒産数自体は2020年から減少した一方、新型コロナウイルス関連の倒産割合が高い水準にあることが分かった。
飲食業の倒産件数が年間最多を記録した20年(842件)と比べて、給付金や協力金などの支援効果もあり飲食業の倒産数はゆるやかになっている。しかし、新型コロナウイルスに関連した倒産が123件(構成比45.5%)とほぼ半数を占めていることから、時短営業、休業要請による売り上げ減少などで飲食業者の経営体力を削られていることが見て取れる。
業種別の倒産件数を調べたところ、日本料理店や中華料理店、ラーメン店などの「専門店」(71件)が最多となった。次いで「酒場、居酒屋」(69件)、「食堂、レストラン」(45件)という順。新型コロナウイルス関連倒産が占める割合は「酒場、居酒屋」(62.3%)がトップだった。
20年から続く時短営業や緊急事態宣言下でのアルコール類の提供禁止が経営を圧迫し、多くの居酒屋の倒産に拍車をかけたと考えられる。
都道府県別での倒産傾向を見ると、増加が20府県、減少が19都道府県、同数が8県となった。緊急事態宣言が発令されている10都道府県では、京都(9件)、福岡(14件)、沖縄(3件)の3府県で増加した。一方、一時期感染者数が爆発的に増加した東京と大阪ではそれぞれ36件、46件と減少している。
他の業種に比べ少ない初期投資で開業しやすい飲食業は小規模経営が多く、自治体などからの給付金で一時的な延命も可能だ。しかし、新型コロナウイルスの長期化により飲食店に客足が戻らない状態が続けば、今後倒産に追い込まれる事業者はさらに増えていくかもしれない。
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