平均7764万円! 経済が振るわなくても、タワマンが売れている理由:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
首都圏の新築マンション価格が上昇している。コロナ危機が広がる中で、なぜタワマンが売れているのか。その背景について、筆者の加谷珪一氏が解説した。
「今しか買うチャンスがない」と考える人が増えている?
では、なぜ多くの人が、ここまでしてマンションを買おうとしているのだろうか。その理由は、今のタイミングを逃すともう物件を買えないと考えているからだ。
日本は今後、人口減少が進み、国内市場は急激に縮小する。しかも、政府は企業に対し、事実上、社員を一生涯雇用するよう求めており、総人件費は膨らむ一方である。市場が縮小する中、企業が社員の面倒を一生見ることになれば、平均賃金はさらに下がらざるを得ない。一方、コロナ危機をきっかけに、日本を除く世界各国はコロナ対策と次世代投資(AI化)に巨額の財政支出を行っており、金融市場では今後、景気の過熱とそれに伴う激しい物価上昇が予想されている。
ここ10年、マンション価格は上昇を続けてきたが、その理由の一つとして全世界的な資材価格の高騰がある。海外の物価がさらに上昇すれば、マンション建設に必要な輸入資材の価格も上がるので、販売価格を引上げざるを得ない。
人口が減ると、都市部への人口集約が発生し、首都圏にはさらに多くの人が転居してくるので、(首都圏に限って言えば)将来、マンションはますます足りなくなる。賃金上昇が見込めない中、価格だけが上昇を続ける可能性が高く、物件も希少ということになれば、今しか買うチャンスはないと考える購買層が増えても不思議ではない。
こういうことを書くと不動産業界からカネをもらっているなど、意味不明の誹謗中傷を受けるのだが、筆者は投資やビジネスで成功しており、贅沢(ぜいたく)をしなければ一生涯、生活には困らないレベルの資産を保有している。誰かから小銭をもらって事実と異なる記事を書くなど100%あり得ないので、この記事も事実を元に淡々と分析しているに過ぎないことを理解してもらいたい。
関連記事
- 物価は上昇しても「給料」は上がらない、根本的な問題
4月から公共料金や食品など多くの商品が値上がりしているが、ビジネスパーソンの給与も上がるのだろうか。筆者の加谷氏は否定的な見方をしていて、さらに下落するかもしれないと予測している。なぜかというと……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - 「70歳まで会社にしがみつく人」が結局、会社を弱体化させてしまうワケ
定年を引き上げるニュースが相次いでる。現行の60歳から65歳にする企業が増えてきているわけだが、筆者の窪田氏はこの動きに懸念を抱いている。「長く働くことができていいじゃないか」と思われたかもしれないが……。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.