今後のワクチン接種は、クラスターが発生しやすい場所で働く人たちを優先せよ:順番を間違えると(1/2 ページ)
医療従事者、そして65歳以上の高齢者が順次、ワクチンを接種されつつあるが、その次の優先接種対象は戦略的に考えるべき。その順番を間違えると……
日沖博道氏のプロフィール:
パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。
65歳以上の高齢者に対するワクチン接種は7月末までに完了するめどがついたという。しかも職場接種を進めたいとする企業・大学が増えてきた。菅首相が提唱する「一日100万回」が目標の射程範囲に入ってきたといえる。
政府は当初、次は基礎疾患のある人と60〜64歳を優先する方針だったが、最近この年齢順の指示を撤回し、現在は各自治体に優先順位の方針決めを任せている。基礎疾患のある人を先行させろという指示も、自治体は誰が基礎疾患を持っているのか把握できていないので難しいケースが少なくない。
政府のもともとの発想は「罹患した場合に重症化する恐れの高い人たちに優先接種してもらって、早く安心してもらいたい」というもので、「市民の不平・不満の的になりたくない」行政の思考としては理解できる。
しかし変異株が市中感染の主流になりつつある中で、感染再拡大とワクチン接種のスピード競争が、日本での第5波を防ぐことができるかどうかを決める。そのために必要な戦略的発想は「いかにクラスターの発生を抑制するか」であろう。ならば優先すべきは「クラスターが発生しやすい場所で活動せざるを得ない人たちに優先してワクチンを接種」することである。
しかもその際、この変異株ウイルスの特性(感染スピードがさらに上がり、しかも若い世代も感染・重症化しやすい)を踏まえることが今まで以上に重要だ。すると次のような、「他人と密になりやすい職場環境」で働く「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる人たちこそが優先されるべきだ。すなわち
- 消防隊員(救急隊員が中心だがそれ以外も含む)
- 介護施設の従業員(介護士が中心だがそれ以外も含む)・保育施設の従業員(保育士が中心だがそれ以外も含む)
- 小中高校・大学の教職員
- バス・タクシーの運転手
注)以上には検疫所や保健所の職員が挙げられていないが、彼らは既に優先接種対象とされている「医療従事者」に明示的に含まれるという前提である。
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