「テレワーク導入せず」5割超 導入に反対する年代は?:経営者の方針でテレワーク不可な企業も
政府が掲げる「出社7割減」達成にはほど遠い調査結果が出てしまった。週3日以上が在宅勤務とテレワーク中心の働き方ができている人はたったの14%にとどまる。日本企業でテレワークが定着しない理由とは?テレワーク率を高めるためにはどうすればいいのか、見ていきたい。
転職支援メディアを運営するネクストレベル(横浜市)が948人のビジネスパーソンを対象に「テレワーク・リモートワークの現状」を調査した。2020年4月以前と比較して「テレワークは導入されず、以前と働き方は変わらない」と回答した割合が5割超で最多となった。政府が新型コロナウイルス感染防止策として掲げる「出社7割減」にはほど遠い。
「20年4月以前と比較して、働き方は変わったか」と尋ねたところ、「週に3回以上テレワークになった」と在宅中心の働き方ができている人は14.0%にとどまった。
緊急事態宣言下で一時的にテレワークを導入したが、「現時点では以前と同じ働き方」(13.6%)と在宅勤務のデメリットを解消しきれず出社中心に戻ってしまっている企業もあるようだ。
テレワークを導入できなかった理由としては「個人情報や機密書類を扱うため、社外に持ち出せない」「会社のペーパーレス化が進んでいない」「個人用にパソコンが貸与されない」などが挙がった。
テレワークを導入しない理由として「会社の方針」や「アナログな作業が多いため」と回答した人は40〜50代が多く、出社が当たり前だった層がテレワークの浸透を遅らせている可能性が高い。
テレワークを導入したタイミングに関しては第1回緊急事態宣言が発令された「20年4月ごろから」が最多で58.9%となった。早期の段階でテレワークに移行できた人が多かった職種は「事務職」(30%)、「営業職」(17%)、「エンジニア」(11%)だった。
現在テレワークをしている人の8〜9割がメリットとして「通勤時間の減少」を挙げた。余暇時間を趣味や副業にあてるなどライフワークバランスのとりやすさや仕事の効率向上、食費の節約につながるとの声もある。
デメリットとしては、コミュニケーション面で問題を抱えている人が特に多く見られた。簡単な質問や雑談をすることにハードルを感じているようだ。
パーソル総合研究所が20年3月に行った調査によると、テレワークの頻度が増えるほど孤独感も増す傾向があるという結果が出ている。今後、コミュニケーション不足が社員の孤独感を深めたり、会社への帰属意識に影響を与えたりするかもしれない。
一部の企業では既にテレワークが定着し、転勤の廃止やワーケーションの推進などにより働きやすい環境整備が進んでいる。しかし、システム面の問題や会社の方針として出社を義務付けている企業も依然多く、二極化しているのが現状だ。
テレワークのデメリットを解消することや企業のデジタル化を推し進めることが、今後テレワーク率を高めていくカギになるだろう。
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