“暗号スマホ”とはどんなモノか 「FBIのビジネス流儀」はとことん:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
FBIの暗号化メッセージアプリ「ANOM」を使った国際おとり捜査で、800人以上が逮捕されたという。「暗号」「おとり」といった言葉が出てくると、映画の世界を想像するが、どのようなモノなのか。
次はどうなる?
結局、この大捕物(おおとりもの)では、冒頭で触れたように、かなりの数の犯罪者を摘発することに成功している。ちなみに、FBIが公表しているANOM利用者がいる国を示す世界地図によれば、21年5月の時点で、日本にも利用者がいたことが分かる(参照リンク)。もしかしたら「トロイの盾」作戦によって、さらなる逮捕者が出てくるのかもしれない。
さすがに、ここまで報じられているので、犯罪者らはANOMを使用していないだろうが、いずれにしても、また同じような暗号スマホがどこかで作られ、使われることになるだろう。要は、いたちごっこである。
犯罪者たちが地下で使っている暗号通信の実態を暴露した今回の事件。次はどんなコミュニケーションツールが登場するのか、見ものである。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
関連記事
- タイム誌初の「世界の企業100選」 日本企業は入ったのか?
米国のタイム誌がビジネスパーソン必見の特集を組んでいた。特集名は「世界でもっとも影響力のある100社」。どんな企業が選ばれていたのか、日本の企業は……? - コロナ禍で、なぜ「高級スポーツカー」が売れているのか
海外で、高級スポーツカーが売れているという。コロナ禍、多くの日本企業は苦戦しているのに、なぜ高級車が売れているのか。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.