夢のワーケーション導入、総務がやるべきことは? 課題が盛りだくさんの状況を整理する:「総務」から会社を変える(2/3 ページ)
注目を集めるワーケーションだが、総務がやるべきことは盛りだくさんだ。何から手を付ければよいのか、状況を整理する。
その理由には、「会社の制度改定が追い付かず、見送りになってしまった。また、費用負担の割合の設定が難しく難航してしまった」といったものが挙がった。せっかく新たな、そして便利な制度の検討が生まれたのに、こうした理由で見送ってしまうのはとてももったいない。
そこで、ここからはワーケーション導入に必要な制度設計のポイントを見ていこう。
ワーケーション導入に必要なルールと諸注意
ワーケーションを導入するには、当然だが会社としてのルールが必要になる。さらに、運営上の注意点もある。具体的には、どのようなことに注意すればよいのだろうか。
まずは、ワーケーションの導入範囲を定めることだ。今回のコロナ禍での強制的な在宅勤務で気付いたと思うが、自律的に仕事ができないと、本人も、そしてその上司も非常に困ることになる。自ら仕事を作り出す、また考えられることがテレワークの条件の一つでもあるのだ。従って、ワーケーションでは、さらに厳密に対象、導入範囲を設定しておいた方がよいと考えられる。業務や部署、役職など、まずは対象を定めていこう。
ワーケーションに適した業務は、ソロワークや企画書作成などの集中力を要する仕事、が筆頭に上がる。部署については、チャットやWeb会議ツールを使って、リモートでもスムーズにコミュニケーションがとれる部署がよいだろう。こうした業務・部署でまず試してみて、全社に広げていくことをおすすめする。
また、ワーケーション中の業務に関する就業規則も整えておこう。そもそも、ワーケーションで行える業務にはどのようなものがあるのか、という対象業務を定めるところから始めるとよい。「どんな業務でもよい」となると、ワーケーションをする本人はよくとも、周りにしわ寄せがいってしまう可能性もある。
こうしたことを考えると、ワーケーションは「許可制」からスタートするのがよいといえる。その場合の申請方法や決裁ルール、さらにはワーケーション中の承認フローを考えると、デジタルで完結するワークフローを構築することが必要となるだろう。
また、ワーケーションで発生した経費の負担についても定めを要する。特に、通信費用、Web会議をする場合の場所代、交通費など、どこまでを仕事とし、どこからをプライベート使用とするかは悩ましい。
これら、幅広い要素を定めて就業規則に盛り込まなければ、ワーケーションは導入できないのだ。ただ、これは何もワーケーションに限った話ではない。例えば、ワーケーションに適した業務・部署の検討は、業務の棚卸し、そして組織再編にもつながる。「総務の腕の見せ所」だと考え、積極的に取り組もう。
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