商圏内で敵なし!? 「スマホでケンタッキーフライドチキンを検索」に隠された戦略:飲食店を科学する(3/4 ページ)
ケンタッキーフライドチキンが絶好調。看板商品のブラッシュアップや、マーケティングが成功した。一方、著者は「スマホでKFCを検索」にある戦略が隠されていると指摘する。
マーケティング改革をどう進めたのか
KFCの好調要因を語る上で欠かせないのが、同社のマーケティング戦略です。かつて、17年には売上高が9カ月連続で前年割れという厳しい時期もありました。こうした中で同社のチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)の中嶋祐子氏が中心となってマーケティング改革を行います。
もともとKFCは、パーティーやクリスマスといった「特別な日」の高単価の利用客は多いものの、普段使いの利用客が少ない点が課題でした。こうした中で500円という価格帯の安いメニューで「新規客層(1層)」を獲得し、季節限定メニューなどで「リピート&ファン客層(2層)」を獲得していくという「2層マーケティング戦略」を実行します。この戦略が功を奏し、同社は長引く営業不振から脱却し、V字回復することができました。
この2層マーケティングは、コロナ禍においてもその効果を発揮します。
実際に筆者も店舗を訪れてみました。
お昼過ぎに店舗に行きましたが、店内は満席で、外にも5人程度がオーダー待ちをしている状態でした。
店内のオーダーカウンターで最初に目についたのが、2階層マーケティング戦略の1つで、新規客獲得効果を発揮している「ランチメニュー」です。
KFCのランチセットメニューには2つの大きな特徴があります、1点目は、最下限価格500円スタートという安さです。2点目は、ランチメニューの提供時間です。KFCは毎日10〜16時にランチメニューを提供しています。例えば、マクドナルドのバリューランチは平日10時30分〜14時までとなっており、お得なランチメニューの提供時間が長いのがKFCの特徴です。
このように、500円という低価格帯ランチを、毎日長い時間販売することで、新規客層(1階層)獲得の最大化を目指しているのです。
さらに、実際に店舗のカウンター上のランチメニューをよく見てみると、下部にはリピート&ファン客層(2階層)に向けた期間限定メニュー「ダブルチキンフィレサンドセット」がしっかりと打ち出されています。
コロナ禍においては、巣ごもり需要が増える中で、同社が力を入れているデリバリーで初めてKFCを利用して、その後実店舗に訪問するといったリピート客獲得の流れも加速しています。
ここまで、2階層マーケティング戦略を解説しましたが、同社の強さは他にもあります。
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