4カ月で2万個が売れた! なぜアサヒは食べられる容器「もぐカップ」を開発したのか:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
アサヒビールが3月に発売した、食べられる容器「もぐカップ」が人気を集めている。販売目標は年1万個を掲げていたが、わずか4カ月で2倍の2万個も売れている。それにしても、なぜ食べられる容器を開発したのか。開発者に話を聞いたところ……。
持ち運びができるタンブラーを開発
そんなモヤモヤしたことを考えていたところ、ちょっとしたアイデアが舞い降りる。「使い捨ての容器(例えば、プラスチック製のコップ)ではなく、使い捨てずに使い続けることができるタンブラーを開発することはできないか」と思いつき、たどり着いたのが「森のタンブラー」(パナソニックと共同開発)である。
同アイテムの最大の特徴は、エコなことである。使っている材料の植物繊維(セルロースファイバー)の比率を70%にして、プラスチックの使用料を30%に抑えることに。手触りも見た目も香りも木材を感じることができるので、使っている人は「環境に優しいことをしているぞ、オレ!」と思えるわけだが、難点が一つ。持ち運びが面倒なのだ。
例えば、仕事が終わって、オフィスで一杯となったとき。カバンの中からマイカップを取り出すには、ちょっとした“勇気”がいる。「みんな缶で飲もうとしているのに、自分だけマイカップって。しかもエコアピールって、ウザく思われないか」――。といった具合に、日本人あるあるの“同調圧力”に屈して、いつも通りの缶で飲んで、いつも通りにゴミを捨てる人が多いのでは。
「タンブラーを持ち運ぶのは面倒」と感じている人が多いことは、古原さんも重々承知である。だからといって、このまま黙って引き下がるわけにはいかない。容器開発の会議で、よく議論になるネタがある。「食べられる容器をつくることはできないか」だ。未来感が漂う話であるが、結末はいつも同じである。「ま、それは無理でしょ。なにか違うモノを開発しよう」とお約束のような形で、話が前に進まなかったのだ。
しかし、そのときの古原さんは、あきらめることができなかった。持ち運ぶのが面倒であれば、食べてもらえばいいのではないかと。開発方法を探っていくうちに、食べられる容器「イートレイ」を開発している会社にたどり着いた。愛知県に拠点を置く「丸繁製菓」である。
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