4カ月で2万個が売れた! なぜアサヒは食べられる容器「もぐカップ」を開発したのか:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
アサヒビールが3月に発売した、食べられる容器「もぐカップ」が人気を集めている。販売目標は年1万個を掲げていたが、わずか4カ月で2倍の2万個も売れている。それにしても、なぜ食べられる容器を開発したのか。開発者に話を聞いたところ……。
“水の削減”にも一役
2019年7月、アサヒビールと丸繁製菓は共同開発することに。もちろん、食べられるカップである。
開発にあたって、最も苦労したことは何か。この質問に対し、「耐久性」という答えが返ってきた。「最初は400ミリリットルのモノをつくろうとしましたが、見事に失敗。素材(ジャガイモでんぷんなど)が伸びなくて成型することができませんでした。できる範囲の中で、できるだけ大きいモノをということで、200ミリリットルのサイズをつくることができました」(古原さん)
「耐久性がうんぬんかんぬんと言ってるけれど、ぶ厚くすれば強度が増すのでは?」と思われたかもしれない。その通りである。ぶ厚くすればするほど強度は増すが、そうすると飲んだあとに、または食べたあとに、その容器を食べるのが大変なことになる。お腹が一杯になって、もう食べることができない。といった状態になって、食べかけの容器が散乱してしまえば、本来の目的からそれてしまう。そうなってはいけないので、ギリギリのところで調整を行う。結果、厚さ2.5ミリ〜3ミリで一定の耐久性を保つことに成功する。
容器は高温高圧で焼き固める製法で完成したわけだが、どのくらいの時間使えるのだろうか。「冷たい飲み物であれば、1時間ほど使い続けても問題ありません」(古原さん)とのこと。また、売れ筋を聞いたところ、えびせんのLサイズが一番人気だそうだ。
当初、コップの代わりになるモノとして開発を進めていたわけだが、購入者の利用シーンをみると、さまざまな工夫がうかがえた。カップの中にアイスやシャーベットを入れてパフェをつくったり、カレーやシチューを入れてお皿として使っていたり。通常のお皿にカレーを盛り付けると、洗うのがちょっと面倒である。ルーや油がこびりついて「ギトギトするのは嫌」という人が、食べられるお皿として使っているのかもしれない。
ゴミを削減するために生まれてきたコップだが、“水の削減”にも一役買っているようだ。
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