使い捨てプラの次は何か? 「紙製パッケージ」に冷たい視線を注ぐ背景:コロナ禍が関係(2/4 ページ)
「Pack4Good」というプロジェクトをご存じだろうか。カナダを拠点に活動している非営利環境保護団体「Canopy(キャノピー)」が立ち上げたプロジェクトで……。
「Pack4Good」とは
では、「Pack4Good」というのは、具体的にどのようなプロジェクトなのだろうか。プロジェクトの目的は、非常にシンプルだ。紙製パッケージに使用される原材料が、絶滅の危機にある原生林から調達されないようにすることだ。
そのために、「Pack4Good」では3つのソリューションを提案している。最初に取り組むべきことは、パッケージデザインを再考することだ。原材料を最も有効的に使うためには、優れたパッケージデザインが欠かせないからだ。
軽くて、強度があり、小さめに設計することで、劇的に原材料の使用量を抑えることができるという。さらに、何度も使えるようなパッケージであれば最高だ。パッケージデザインを見直すことは、環境にもビジネス面でもメリットが大きいため、企業にとってもやりがいのある取り組みになっている。
次に提案しているのは、リサイクルされた原材料を使うことだ。100%リサイクルされたもので再生紙であれば、より大きな効果が期待できる。
通常、従来の紙製品を作る過程では、森林から木を伐採し、製紙工場で化学薬品を使って加工される。再生紙を使用すれば、原料資源の節約だけでなく、加工の際に使用される水やエネルギーもセーブできる利点がある。さらに、再生紙は入手しやすいことから、企業にとっても導入するのが比較的容易であることもメリットになっている。
最後に、次世代の繊維から作った紙製品を取り入れる、という選択肢も広がりつつある。次世代というのは、革新的なテクノロジーによって、これまで焼却処分したり埋め立て処理をしていたような、残留物や廃棄物から新たな紙素材を作るといった取り組みだ。
例えば、小麦などを収穫した後に残る麦わらからも、新たな紙素材を作ることができるという。農作物を育てる過程で出る廃棄物から、そのような環境に配慮した紙素材が作り出せるとなれば、農家にとっても新しい収入源になるため期待が高まっている。
また、農業廃棄物を使用することで、別の環境問題を解決することも期待できそうだ。インドを例に挙げると、毎年9000万トンもの稲わらが焼却処分されていて、隣接する都市の大気汚染が問題になっているという。そこで、大気汚染の元になっている稲わらを再生紙に変え、市場に流通させることができれば、双方にとってメリットがある取り組みになりそうだ。
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