猛暑の愛知で冷やし旅? コロナ影響続くJR東海「奇策」の狙い:見据える先はジブリパーク(2/2 ページ)
JR東海は愛知県と「あいち冷やし旅」キャンペーンを立ち上げた。今年の7〜9月に愛知県を舞台に展開する観光キャンペーンだ。担当者に狙いを聞いた。
星野リゾートともコラボ
JR東海は「あいち冷やし旅」キャンペーンのみならず、「いい旅、沸いてます。〜伊豆・熱海・箱根〜」、リゾナーレ熱海を舞台にした星野リゾートとのコラボキャンペーン、人気ゲーム「信長の野望」「戦国無双5」とのコラボキャンペーンなど、新たな取り組みを続々と打ち出している。
広く国民にコロナのワクチンが行きわたり、旅行マインドが戻るまで何もしない、という選択肢もありそうなものだ。この点について尋ねると、「足元の需要喚起というより先を見据えており、来たる観光需要回復時の弾込めの意味合いも強いです」(JR東海営業本部・土肥千典氏)と話す。
「あいち冷やし旅」の見据える先は何なのか。
「22年秋には(愛知県の愛・地球博記念公園に)ジブリパークが開業予定で、その先にはリニア開業も控えています。まずは『冷やし旅』というエッジの立った切り口で県内の観光コンテンツを掘り起こし、継続して愛知県と観光コンテンツを発掘、開発していくことによって、愛知県を一大観光県にしたいと考えています」と土肥氏は話す。
「夏休みに東京や大阪からファミリーでジブリパークを訪れる近未来が見えています。愛知県には魅力的な観光コンテンツが数多くあり、『せっかくジブリパークへ来たのだから、数泊して他にも立ち寄ってみよう』という流動を作りたいと考えています」。確かに名古屋城や熱田神宮といった全国的に知られた施設はあるものの、夏休みにファミリーで愛知県へ足を運んだ場合、どこを訪れたらよいのかイメージが湧きづらい。
土肥氏が打ち出したいと考えている冷やし旅スポットを尋ねたところ、「清流と渓谷が美しく、巨大な奇岩に驚かされる乳岩峡(ちいわきょう)です。透明度が非常に高く、冷たい水に全身つかって『冷やし旅』を提供できると考えています」と教えてくれた。
乳岩峡は、国の名勝天然記念物に指定されており、近年SNS映えするスポットとして、人気が急上昇。道路混雑を避けるため、今年5月に乳岩峡へつながる1.2キロの市道が一般車両通行止めになったほどだ。キャンペーン期間限定で、乳岩峡最寄りの飯田線・三河川合駅にドコモ・バイクシェアの自転車を臨時に設置し、旅行商品購入者は利用できるようにした。
「渓谷ハイキングは、崖沿いにある巨岩の間をハシゴですり抜けるようなスポットもあり、高所恐怖症の私は肝も冷えました(笑)」(土肥氏)
昨年の「ずらし旅」から始まり、コロナ禍でも積極的な展開を見せるJR東海。コロナ禍の終わりが見え、旅行需要が回復した際、これらの「弾込め」が奏功するか注目だ。
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