2015年7月27日以前の記事
検索
連載

アクア新CMのワケ、三洋電機とハイアールの融合が生み出す新潮流家電メーカー進化論(4/6 ページ)

家電メーカー「アクア」は、他社にはない先進的な機能のある製品や技術力の高さで人気があった旧三洋電機の流れを受け継ぐメーカー。今年4月には、人気俳優の長谷川博己氏を起用し、ブランディング目的のテレビCMを大々的に展開した。今までにはないCM展開の意図は何なのか。アクアの吉田庸樹COOに聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

グローバル展開するハイアール傘下でのメリット

――この3年のアクアは、衿や袖などを手軽に予洗いできる超音波ユニット「らくらくSONIC」を内蔵した洗濯機、海外ドラマに出てくるような両開きデザインの大型冷蔵庫など、「他社にはない商品」を出し続けています。これは旧三洋電機の開発者による力が大きいのでしょうか。

 もちろん三洋電機からの技術もありますね。特に日本向け製品は、日本国内で開発しているため、その技術を活用しやすい環境にあります。グローバル向け製品は、中国本土で作っていますので、その開発過程で生まれた新たな技術もあります。当然、三洋電機のDNAはありますが、さらにハイアールの新しいDNAも上手に取り込んだ結果、「他社にはない商品」が開発できたと思っています。

――海外メーカーのハイアール傘下に入ったことで、起きた問題はありましたか。

 ハイアールはそもそも、米国のゼネラル・エレクトリックやイタリアのキャンディなど、多くの国の家電メーカーを買収しているため、むしろそれぞれのローカル市場への理解は非常に深いと感じています。買収された企業は、基本的に現地をターゲットとした製品を開発するため、現地の声や判断を大切にしてくれていると感じますね。

 とはいえ、われわれ日本の声を何でも聞くというわけではなく、数字やユーザー調査などしっかりとした根拠はもちろん提示する必要があります。逆に数字や根拠があれば、かなり自由度が高い開発ができるともいえますね。決断スピードに関しては日本企業と比較できないほど速いため、やりやすい部分も多いです。

 そのような背景もあり、根拠の1つとなるユーザー調査はかなりしっかりやっています。1000人規模のインターネット調査、1カ所に集まってのモニター調査、グループインタビュー、試作品を使った調査など、ありとあらゆる形式で「どの製品が売れるのか」を調査しています。「こういうものが売れそう」という発想だけでは開発にGOは出ず、論理的な理由付けが必要です。このあたりはハイアールならではの、非常にデジタルな決定プロセスだと感じます。


洗濯に関するユーザー調査で上位となった「予洗いが面倒」「予洗いで布が傷む」といった意見を解決するために開発された、超音波ユニット搭載洗濯機「prette」シリーズ

 また、ハイアールとの連絡をかなり密に行っており、お互いに相手の事情を把握できていることも、スムーズな意思決定にいい影響を与えています。コロナ禍以前は頻繁に行き来していましたし、現在はオンラインですが頻繁にコミュニケーションをとっています。われわれの販売状況をリアルタイムで共有しているので、実際「先週、○○でpretteが売れたのはなぜだ?」というような会話が日夜繰り広げられています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る