まだ「30兆円」を使っていない 日本経済をよくするには、何に投資すればいいのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
新型コロナの感染が広がって、経済的なダメージを負った人は多いはず。そんな状況の中、日本政府は次にどんな手を打てばいいのか。
米国の経済刺激策
そこでバイデン政権は、看板政策として掲げている「ビルド・バック・ベター(より良き再建=BBB計画)」の中で、インフラなど公共事業への多額の投資を決めている。通信インフラの整備なども含めて、64兆円規模の投資になると見られており、数百万人の雇用を生むと期待されている。
ちなみにバイデン政権は、いまの日本のようにワクチン接種が一気に加速し始めていた3月に、1.9兆ドルの刺激策にサイン。個人に対しては、1400ドルの給付金を決めている。さらに失業者に対しては、週に300ドルの支払いを9月まで延長。家賃や光熱費の支援に250億ドル、またワクチン接種を広めるために200億ドルの補助金も盛り込んでいる。日本も今こそ残った予算を個人に回すのも手だと思うのだが……。
とにかくかなりのカネをばら撒(ま)いている印象もあるが、コロナ禍の今、それは不可欠な対策だと言える。米国では、20年に給付した個人給付金などがあまり使われずに貯蓄に回っていて、批判的な見方もあった。ただ、21年5月以降、ワクチン接種が広がったことによって、消費が戻ってきた。結果、米国人の平均貯蓄額は減ってきている。
少し話がそれたが、日本でも老朽化したインフラへの投資によって、雇用が生まれ、ポストコロナの景気刺激策となる可能性もある。市場規模は5兆円と言われている。
実は、インフラの問題は老朽化だけではない。5月28日には、社会資本整備の道しるべとなる「第5次社会資本整備重点計画」を閣議決定している。国土交通省がまとめているその計画には、「防災・減災」「インフラメンテナンス」「持続可能な地域社会の形成」「経済成長を支える基盤整備」「脱炭素化」のほかに、「インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション」も加わっている。
インフラの老朽化と同じく、DXも、公共インフラであると位置付けて整備しようとしている。データプラットフォームを構築することで社会資本整備のデジタル化・スマート化を実現し、さらに働き方改革や生産性向上を目指し、新技術の社会実装によるインフラの新価値を創造(スマートシティやAIターミナルなど)したいという。
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