セブン&アイ、スピードウェイ買収は「千載一遇のチャンス」 強気の井阪社長、背景に“米国特有のコンビニ事情”:大幅増収の予想(2/2 ページ)
7月1日、セブン&アイHDが2022年2月期通期の連結業績予想を発表した。前期比3.7%増の3800億円を見込んでいる。セブン&アイHDの勝算とは?
日本は「大手の寡占市場」、米国は「細分化された市場」
日本国内には約5万6000店のコンビニがあるが、大手3社が約90%のシェアを占めている状態だ。一方、北米では大手トップ10のシェアは全体の約20%にとどまる。10店舗以下のスモールチェーンが全体の約65%を占めている計算だ。また、全体の80%以上がガソリンスタンド併設型のコンビニだという。
寡占状態の日本市場に対し、細分化された北米コンビニ市場では、スピードウェイ取得により、さらなる成長が期待できるという考えだ。
これまでもセブン&アイHDは、北米市場でM&Aを繰り返して店舗数を拡大、統合ノウハウの蓄積により成長してきた。20年度の連結決算では、営業利益の28.6%、純利益では34.0%を米国事業が占めるほどで、グループ全体への貢献度も大きい。06年にはM&Aで、3381店舗を取得しており、20年度末時点の合計9884店舗のうちM&Aによる取得店舗は2割を超えている。
井阪社長は、スピードウェイの買収によって「3年目(23年5月〜24年4月)の想定シナジーは5億2500万〜6億2500万ドルを見込んでいる」という。20年8月時点では4億7500万〜5億7500万ドルの想定だったが、大幅な上方修正を加えた。
「最も大きなシナジーを期待しているのは商品開発だ」(井阪社長)。米セブン-イレブンの商品やプライベートブランド商品をスピードウェイの店舗にも導入し、品ぞろえを改善していく。そのほか、商品調達や物流改善を通して売り上げ・粗利の増加を狙う。
また、デジタル戦略統合として、米セブン-イレブンが実施しているネットコンビニ・配達事業「7NOW」をスピードウェイ店舗で行うことに加え、スピードウェイのロイヤリティ(会員)カードをセブンのDXポイントに移行し、効率化を進める。
同日にセブン&アイHDが発表した新中期計画(21〜25年度)でも、スピードウェイを含む海外コンビニ事業は「グループ成長のドライバー」と位置付けられている。スピードウェイ取得は、セブン&アイHDの成長を加速させる起爆剤となるのだろうか。
関連記事
- 夏のボーナス想定支給額 3位「40万〜60万円」、2位「20万円未満」、1位は?
ロイヤリティ マーケティングが「夏のボーナス」に関する調査を発表した。トップ3は19年と変わらない結果となった。200万円以上もらっていた割合は19年と比べて約半数となった。ボーナスの使い道などの結果と合わせてみていこう。 - 串カツ田中、家で串カツが作れるフライヤーの販売を開始 7月1日から
串カツ田中が家庭用フライヤーを販売した。公式オンラインショップ限定で販売予定だという。実際の商品を見てみよう。 - ファミマ、7月から「エコ割」推奨 食品ロス3割減を狙う
ファミマが7月から値引き販売を促進する「エコ割」を始める。全国の1万6000店のフランチャイズチェーン加盟店が対象。食品ロス3割減を目指す。恵方巻問題などコンビニと食品ロスの関係は根深い。セブンとローソンでも食品ロス問題に取り組んでいる。各社の動きを見てみよう。 - ローソン、AI活用した「値引き」実証実験 ファミマ、セブンの動向は?
ローソンが6月22日にAIを活用した値引き実験を、東北地区の一部店舗で実施すると発表した。ファミマも「エコ割」を発表。セブンの値引き導入も効果を出している。各社の動向を比較してみよう。 - トヨタ、「クラウン」に2つの特別仕様車 6月30日発売
トヨタが6月30日に、クラウンから2つの特別仕様車を発売する。スポーティとエレガントがコンセプト。外装や内装を見てみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.