なぜ若者はワクチン接種に消極的なのか 本当の理由と背景:解決法(5/6 ページ)
やがて順番が回ってくるワクチン接種に消極的な若者が少なくない。アンケートではその理由はさまざまだが、「絶対接種したくない」という人はむしろ少数で、あいまいなものが少なくない。その本当の理由と背景をみてみると……。
なぜ「自分は感染しないと思う」のかを語っている若い人の動画を観たが、その根拠は「今まで感染していないから」というズッコケるようなものだった。単に運がよかっただけなのに、これからもその強運がずっと続くと信じているその無邪気さには「おめでたい」としか言えない。
また、先述のアンケートには表れていないが(設問にないのと、当人が明かさないためと考えられる)、「過去に一度感染しているから(抗体ができているはずだから)」という理由も、若い人の場合はそれなりに考えられる。しかし実は過去に感染した人の意外と多くが感染予防に十分な抗体を獲得できていないことが分かっている。しかしそうした人たちもワクチンを1度接種することで十分な抗体が作られるので、やはりワクチン接種はしておいたほうがよい。
ここまで見てきて分かったように、ワクチン接種に消極的な人たちの理由のほとんどは根拠が薄弱、またはまったく不合理なものだ(もちろん、体質的な問題等で医師から非推奨とされている場合は別だ)。科学的に裏付けされた情報や合理的な見方に基づいたものではなく、単なる思い込みや偏った情報に迷わされているだけなのだ。
先述したリーディングテックの調査結果でも、(情報の裏付けを要求される)マスメディアではなくSNSで主に情報を集めている人のほうがワクチン接種に消極的な傾向が表れている。つまり個人がいい加減な思い込みでアップした間違った情報がどんどん拡散され、若者の不安感を煽っているという状況が浮かんでくる。現代の若者の情報収集法がここでは悪い方向に作用しているのだ。
しかしこのまま手をこまぬいていては、この先に一般接種が若い世代に回ってくる段階においてワクチン接種率が伸び悩むことになり、行動範囲が広く感染を媒介しやすい若者間での流行が続く事態が予想される。そうなると感染の連鎖はずっと続き、日本社会が集団免疫を獲得できないまま経済活動の正常化はどんどん先送りされてしまう。それは若者の雇用機会を狭めてしまうことにもつながる。
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