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EVの行く手に待ち受ける試練(前編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)

電動化を進めようとすると、極めて高いハードルとしてそびえ立つのがバッテリーの調達である。バッテリーの調達に関しては、大きく分けて問題が2つある。ひとつはバッテリー生産のひっ迫、もうひとつはバッテリー原材料となる鉱物、とくにレアメタルの絶対的不足である。

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走行用モーターを備えるものが電動車

 そもそも欧州メーカーが力を入れている48V MHEVを何に分類するつもりなのだろうか? ボルボでいえば、XC90、XC60、XC40、V90に48V MHEVをラインアップしているし、フォルクスワーゲンも屋台骨を支える新型ゴルフに48V MHEVをラインアップしている。

 という現実を前に、「BEVとPHEVだけが電動化」と言い募るその分類に論理的な意味が何かあるのだろうか? 筆者から見ると、そもそもエンジンを備えるPHEVをBEVの仲間にカウントするのも不自然だ。単純に「HEVをディスりたい」「BEV最高!」という以外の意味を見いだせない。

 世界のスタンダードは、「純内燃機関でないもの」、つまり走行用モーターを備えるもの全てが電動車であり、蓄電のみで走るものはBEV。これは動かぬ事実である。

 BEVとPHEVを一括りにする理屈に関しては、ボルボの言い方の方がまともで、彼らはBEVとPHEVを合わせて「リチャージモデル」と呼ぶ。これならば「充電可能」という特定の属性を持つ分類として意味があると思う。そしてその括りのためにリチャージモデルという言葉をちゃんと生み出そうとするところに誠実さを感じる。自分の都合ですでにある言葉の意味をねじ曲げようとはしていない。

 一応ここまでをまとめると、事実をゆがめようとする変な言論にご用心ということ。加えて、電動化は確かに世界で進んでいるが、それは必ずしもBEV化ではないということ。48V MHEVも無視するわけにはいかない大きな流れである。

 さて、その電動化を進めようとすると、極めて高いハードルとしてそびえ立つのがバッテリーの調達である。バッテリーの調達に関しては、大きく分けて問題が2つある。ひとつはバッテリー生産のひっ迫、もうひとつはバッテリー原材料となる鉱物、とくにレアメタルの絶対的不足である。

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